第6話 

「それから犯人は、このマンションの構造を熟知しています。おそらく非常口から出入りすれば防犯カメラに映る事はないのでしょう」

 


「ン…、なるほど」

 志村も真剣な眼差しで頷いた。



「そうだよ。俺ははめられたンだ」

 馬場はオーバーアクションで応じた。

 だが依然、馬場に容疑が掛かったままだ。




 ほどなく、被害者、聖羅イブの死亡推定時刻が報告された。

 今夜の深夜、十二時前後だと推定された。



馬場ジョーカーは、どこに居たの?」

 クリスが訊いた。



「え、俺は自宅だよ」

「誰か、証明する人は」



「居ないよ。誰も、けど、俺じゃないンだ」



「あなたは…… 清間社長❓」



「え、僕? どうして僕がイブを殺すワケないでしょ」

「これは被害者の関係者全員に訊きます」



「フン、今夜は仲間とパーティだったンだ。

 クラブ『シャングリ・ラ』でね。

 アリバイは有るよ❗」



「ン……」

 あまりにも都合よくアリバイを用意しているな。


 

 もちろんクリスマスイヴなので、パーティがあっても不思議ではないが……




 結局、被害者、聖羅イブの首を絞めた凶器は発見できず、それがこの事件を解明するカギとなった。

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