第7話 ダメだったらすぐに人のせいにする
「あんたについてった俺がバカだった」
「あんたに裏切られた」
「僕は10分の1の落ちこぼれだから」
合格発表板に俺の持っていた紙の番号が乗ってなかった
不合格だった
ダメだったのは俺だったのに
自分の失敗をその時の感情に任せて
その人になすりつけてしまった
俺の感情に任せて吐いてしまった言葉の刃物が
その人の声を奪ってしまったのかもしれない
あれから僕は1年間引きこもって
その言葉の刃物をその人に突き付けてしまった罪悪感を背負い込んでいた
そんな僕の部屋に1年ぶりに来客があった
白衣を着た30代くらいの細身で、キツネのように目が細いがその目の奥には
何か怖いものを感じさせるような男だった
その男は、新海(しんかい)と名乗った
新海「あなたが2年前に行われた東大テンダー計画東大合格者10人プロジェクトの元被験者兼失敗者の鈴木くんですね」
その言葉を聞いた僕は、図星とは言えかなり頭に来た。
鈴木「ああ。確かにそのプロジェクトの元参加者だけど、いきなり部屋に訪ねて来て、あんた何者なんだよ」
新海「私は、当時の東大テンダー計画東大合格者10人プロジェクトの10分の1の失敗者の君を東大合格に導こうと思ってるものです」
鈴木「新手の詐欺かい?俺は、もう東大なんて目指す気もないし、行こうとも思わない!帰ってくれ」
僕は、自分の心に嘘を付いた。本当は1年前の失敗から、失敗する事が怖くなって逃げる言い訳探しをしていただけなのに。心の奥底からは東大に合格したいと思っているのに。
新海「甘えてんじゃねえよ。落ちこぼれ」
新海の声色が急に冷たく低くなった。
驚きのあまり僕は声が出なかった。
新海は流暢に語り始めた。
新海「俺の目的は、落ちこぼれのお前を東大に合格させて、あの当時お前を唯一合格に導けなかった、見せかけの偽天才糞野郎の最後のプライドを徹底的に折る事なんだよ。」
その言葉を聞き、僕は、この人の言葉に耳を傾けざる負えなくなった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます