第13話 いつの時代も永遠に憧れる髪型は同じ
妻は普段、低めの位置で髪を一つにまとめている。
仕事中邪魔にならないようにできればそれで良いので、時間のない朝でも手早くできるよう手抜きしている。
一方で、予定がある休日は必ずアレンジして飾りまで使う。
サイドに三つ編みを入れて束ねたりだとか、頭の高い位置で結んで垂らしたりだとか、時間がかかっても納得いくまで髪を弄る。
手入れは面倒この上ないけれど、ロングヘアならではの醍醐味で、どのようなスタイルでも変えられる楽しさが気に入っていたりするのだ。(そのくせ不器用で、あまり凝ったアレンジができないのはここだけの話だ)
さて、ここで旦那様だ。
旦那様の好きな髪型がどういうものなのか、実はつき合ってしばらく経つまで知らなかった。
それまでしてきた髪型にコメントをもらったことはなかったし、ファッションと同様、特に興味がないことだと思っていた。
が、きっかけは忘れたものの、ある時猛烈に好きな髪型を主張したことがあった。
それがポニーテールだ。
何というか、今時ポニーテールをしている女子の方が少ないのではないかと思うのだけれど、どうやら大好物らしい。
一度だけデートの時にそのアレンジをしたら、文字通り飛び跳ねるほど喜んでいた。
妻としては、とにかく綺麗に髪を集めるのが難しく、シンプルなシルエットにも関わらず手間がかかるため回避したい髪型ナンバーワンである。
それでも、普段どんな髪型をしても「可愛い」ぐらいしか言わない旦那様が、あれほど身振り手振りで嬉しさを表現するのを目の当たりにしたら、たまには挑戦するのもやぶさかではないと思ってしまうのだ。
自粛期間中で家に籠もる生活が続き、少しでもお互いの気分を上げようと久しぶりにポニーテールにしたら、やはり尋常じゃない喜びようだった。
いつの時代もポニーテール好きな男性はいるのだなと思いつつ、今度こそ次にデートする時まで三度目のポニーテールは取っておこうと思う妻だった。
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