第11話 休日の朝の手ごわい誘惑
我が家は夫婦揃って夜型人間だ。
毎日遅くまで仕事だったり創作だったり作業だったりしているせいもあるけれど、とにかく朝に弱い。
就寝時間を多少早めたところで、翌日起きる時間は変わらないのだから、相当のものだと思う。
なおかつ、寝ること自体も大好きな性質で、休日になると昼前まで寝続けることも珍しくない。
とはいえ寝てばかりもいられないのが現状で、一応アラームもかけていることだし、土日でもなるべく十時ぐらいには起きたいと思っている。
一度はセットした時間に合わせて起きることもできる。
ただ、ここで最大の誘惑が襲いかかることになるのだ。
「旦那様、十時だよ」
「うん」
頷きつつ、旦那様が手を伸ばして妻の頭をぽんぽんする。
この「頭ぽんぽん」が大好きな妻は、朝から旦那様に構われて嬉しいなぁ……と思っているうちに、いつの間にか再び眠りに落ちている。
この間、実質三分も経っていない。
いつ二度寝に入ったのか気づかないまま時間が経過し、次に起きた時には、
「旦那様、今何時?」
「十二時」
「何でなの……」
と、絶望感に陥る羽目になるのだ。
旦那様は旦那様で、「気持ちよさそうに寝てるから」と起こしてくれず、時折妻の頭を撫でながら隣でごろごろしている。
こうして、貴重な半日をベッドの上で過ごすことになるのだ。
何とか旦那様の「頭ぽんぽん」攻撃に抗おうと思っているのだけれど、未だ成功した試しはない。
寧ろ、どうやったら抵抗できるのかと途方に暮れているところだったりする。
このままではこれからも惰眠を貪り続けてしまうと危惧する一方で、お互い毎日頑張っているのだから休日ぐらいはいいじゃないかと主張したくもあり。
何より、旦那様とこんな贅沢な時間を持てて幸せだなと心底思う。
これこそが結婚生活の醍醐味じゃないかとしみじみ実感する今日この頃だ。
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