第20話 棄憶
僕は過去を振り返るのが苦手だ。
思い出ってのは嫌なものしか詰まってないゴミ箱だ。
中には良い思い出があっても、出そうと引っ張れば嫌な思い出と一緒に出てきてしまう。
ゴミ箱を覗き見て、逆さにして、そこから小さく光る探し物を見つけ出すようなモンだから、当然良いことなんてない。
キラキラ光る良いことは2、3日で忘れてしまうのに、嫌なことってのは中々忘れられない。
周りからの嫌な視線、自分が掻く嫌な汗、そういったゴミ箱にこべりついた汚ればかりを思い出すと声が出なくなるほど胸が締め付けられる。
そういった嫌な思い出ってのは1年経っても、10年経っても中々忘れられず、ふとしたことで今生きている僕を再び苦しめてくる。
だから僕は過去を捨てて生きている。
そもそも思い出ってのがゴミクズなら、ゴミ箱に捨てるだけ捨てて、思い出そうと探し出す時間が勿体無いことなのだ。
だって僕は今に生きてるんだぜ。
なら過去のことよりも今のこと、そしてこれから先の未来だけを考えて生きていけばいいだけなんだ。
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