第15話 週刊Rabbitの話題

 最近、熱愛とかスクープ報道多いよね、と口を開いたのは一輝だ。


 リリースアルバムに入っている“Love Planet”を披露するためにテレビ局にいた。

 “ミュージックQ”という音楽番組で、長年多くの人に親しまれている番組だ。

先程、MCとトーク収録を撮り終えた。

今は、スタジオのセット転換のため暫し楽屋で待機中だ。


 「週刊Rabbit。この文字、最近ネットでよく見かけるから気になって調べたんだけどさ、年始早々、誰もマークしてなかった有名人の熱愛やスクープを撮っているんだって。」


 携帯の画面をみんなに見える様に見せた。


 一輝は、ネットをよく活用している。

今流行りのYouTuberをよく楽屋で見ていた。


 一輝が、見せてくれた画面には、『週刊Rabbit 何故スクープをものに出来るのか−。』という特集記事だった。


 「週刊誌に狙われるって事は、有名って事だよね。名が知られているからマークされて記事にされるんだよね。ある意味、マークされてるのも美味しいじゃん。」


 知名度って大事じゃんこの業界、と能天気なレオンに対し、音弥が言った。


 「確かに、知名度があるって事は、それこそ名の知れた有名人になったって事なのはわかるけど、もしこれからって時にそんなスクープが出たらどうする?イメージを壊さない報道だったらまだしも、イメージが壊れ、そこから落胆したら?自分らだけじゃない、スポンサーにだって迷惑がかかる。俺らも気をつけないと。」


 音弥の言葉が胸に突き刺さった。


 目が合った。永人もきっと同じ気持ちだと確信した。何とも言えない表情でこちらを見ていた。



 「SOLEILの皆さん、準備が出来ましたのでスタジオまでお越し下さい。」



 スタッフが呼びに来た。空気が暗くなっていたから助かった。



 「待望のファーストアルバムの代表曲、全力で楽しんで歌おうぜ!」


 空気が暗くなってしまったのが、自分自身だと思ったのか、音弥が普段出さないくらいの大声で言った。


 楽しもう!、とレオンが立ち上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る