artist
白藤 桜空
第1話
「本性」
ターゲットは身寄りのない女生徒。もしくはいなくなっても無関心な親を持つ子。
彼女達の環境を念入りに調べて、狙いを定める。
攫うのは校内で制服を着ている時だ。
狩る時は一瞬だ。廊下でわざとぶつかる時に調査中の写真をこれ見よがしにぶちまける。
決まって彼女達は盗撮にしか思えない写真を見て、恐怖に顔を歪める。震える足で逃げようとするところをすかさずスタンガンで気絶させ、郊外の人気のないアトリエへ運び込む。
彼女が目覚めるのを道具を用意しながら待つ。手術台の上で拘束されているのに気づいた彼女は驚き慄き、逃れようと足掻く。
しかし叫び声をあげたくとも、猿轡を涎で汚すだけ。その様子を微笑んで見守りながら、腕に注射器を刺して血をゆっくりと抜いていく。
貧血で頭が朦朧とし始めてぐったりとし青白くなり始めた体を堪能しきり、致死量を抜き終わると抜いた血を保管場所に移す。彼女の体は女子高生というだけで多大なブランド価値がある。もちろん、その体から抜かれた血液にだって。
すっかり冷たくなった手足を肉包丁で丁寧に切り取る。手足が最も美しくなるようなポージングに素早く変えるとホルマリン液で満たされた保存用の瓶に漬け込む。中身が溢れないよう密封すると、残りの解体を続ける。
内臓を残したまま胴体を保存してしまうと腐敗臭がしやすくなるため、傷跡を残しすぎないように目立たないように腹部にメスを入れて内臓を取り出す。内臓は新鮮なうちに愛好家に届けるために冷凍する。腹部の傷を見えづらくなる糸で縫い合わせたら、手足のないダルマ状態のままホルマリン漬けにする。自分としては興味のない部位だからこれも愛好家に売り飛ばす。しかしこの部位が一番人気があり高値で売れるので、手は抜かない。
頭部は個人が特定されやすいので髪の毛を刈り取った後にぐちゃぐちゃになるように叩き潰すと、アトリエの裏山で燃やしてしまう。骨だけになったらそのまま山に埋めてしまう。簡単に掘り出せないくらい地中深くに。
売り飛ばす部位をパトロンの部下に渡す約束を取り付けたら、自分の画廊として使っている部屋に入る。
ここには今までの作品、女子高生の手足のホルマリン漬けを飾っている。成熟しつつも熟れきっていない部位を眺めた私は、性癖の塊であるそれらを生き生きとした顔で見ていることだろう。
おそらく教壇で生徒達に教えている時より。
これは高校教師、田中京子の日常の中の非日常である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます