第3話 2回目、3回目のガチャ!
俺は、二回目のゴールドガチャをやる事に決めた。
手元のコインから『十年』のコインを選び、ゴールドガチャに投入した。
ブワーン!
不気味な音がして、渦が現れた。
渦の中でカードがグルグルと回る。
頼む! 頼むぞ!
【剣術(上級)】とか、【魔法(上級)】とか、実用的なゴールドカードを!
できれば、(超)、でお願いします!
目の前に黒いカードが一枚現れた。
恐る恐るカードに触れる。
おお! 前回と違うぞ!
カードの周りがキラキラと虹色に輝いている。
金よりレア度が上なんじゃないか?
まさかの(超)か?
カードから赤い文字が浮き上がって来た。
ゴールドガチャカード:【カード】
……。
……。
……。
えっ……?
マジでナニコレ……?
「クフフ、すごいのを引いたね」
「おい悪魔……」
悪魔の方を見たら、大人の悪魔になっていた。
こいつ女悪魔だったのか……。
無駄に体も大人になりやがって……。
胸が……、いや、なんでもない。
「ありがとう三級悪魔になったよ」
「……よかったな。えーと、それで、このカードは何?」
「教えられないよ」
「これ【カード】って、カードなのか?」
「そうだよ」
ええ!? どんな効果があるんだ!?
「これ白紙のカードって意味か? 自分で好きに書き込めるのか?」
「違うよ。【カード】の意味はカードだよ」
禅問答かよ。
カードという名のカード。
「これカスみたいな外れカードか?」
「違うよ。すごく良いカードだよ。
やはりそうか。
さっき引いたカードと見比べてみる。
金の縁取り、銀の縁取り、銅の縁取り、そして【カード】は虹色のホログラムの縁取り。
うん、凄くレアなカードっぽい装飾ではあるな。
「生まれ変わると、【カード】の意味が分かるのか?」
「そうだよ。しばらくすると分かるよ」
そうなのか……。
うーん。もっと効果がわかりやすい【剣術(上級)】とかの方が良かったな。
悪魔がチケットを渡して来た。
「クフフ、特典だよ。シルバーとブロンズのガチャが一回ずつだよ」
もう、切り替えよう。
それに考え過ぎて疲れて来た。
次は良いのが来ると信じよう。
「オッケー、やろう」
手元からチケットが霧のように消えた。
シルバーガチャとブロンズガチャがさっきのように動き出した。
ブワーン!
不気味な音がして、渦が二つ現れては消えた。
目の前に黒いカードが二枚現れた。
触ってみる。文字が現れた。
シルバーガチャカード:【頭脳明晰(中級)】
ブロンズガチャカード:【幸運(小)】
うーん。
ダメではない……。
ダメではないが……。
何か微妙だ。
この二枚のカードは、『頭が良くてちょっとツイてる』って感じだ。
うーん、ダメではないが、平凡というか……。
人生勝ち組って程では無い。
「クフフ、あと一回ガチャが引けるよ」
ガチャは後一回か。仕方がない。
予定通りシルバーを引こう。
寿命一年のコインをシルバーガチャに投入する。
頼む! 良いカードが来てくれ!
ブワーン!
シルバーガチャカード:【絶倫(中級)】
ノーーーーー!
ノー!
ノー!
「なあ、悪魔。俺のガチャおかしくねえか?」
「おかしくないよ」
「俺ガチャ運が悪いか?」
「そんな事ないよ」
「お前が女悪魔になったから、【絶倫(中級)】が出たのか?」
「違うよ。三級悪魔は人間と肉体関係を持たないよ」
「……そうか」
しかし、【絶倫(中級)】って……、実用性皆無だな……。
どうなるのだろうか、俺の生まれ変わり人生は。
俺のガチャの結果はこうだ。
一回目(ゴールドガチャ+無料ガチャ銀銅)
【ゴールド】
【前世記憶】
【ややイケメン】
二回目(ゴールドガチャ+無料ガチャ銀銅)
【カード】
【頭脳明晰(中級)】
【幸運(小)】
三回目|(シルバーガチャ)
【絶倫(中級)】
寿命:二十一年消費
残り:二十九年
まとめると――
『ややイケメンで絶倫の頭脳明晰な男が、前世記憶を元に上手く世渡りするちょっと幸運な二十九年の人生。【ゴールド】は謎である。【カード】はさらなる謎である』
――これはどうなんだ。
テレビでよく聞く声優大塚明夫の声で脳内再生されたぞ。
これで、『明るく』、『豊かな』、転生ライフは送れるのか?
寿命を二十一年も突っ込んだんだぞ!
まあ、しかし冷静に考えれば、『ややイケメンで頭脳明晰で世渡り上手』って感じで考えれば、商人とか役人とか文官系の人生ならうまく行くかもしれないな。
【幸運(小)】もあるから、ツキも多少はあるだろう。
「クフフフ、そろそろ生まれ変わる時間だよ」
俺の二十一年の寿命で大人の女になった悪魔が声を掛けて来た。
なんか意識がボーっとして来た。
これから生まれ変わるのか?
だが、最後に念を押しておこう。
「おい、悪魔。三級悪魔になったんだな」
「そうだよ」
「おれのお陰だよな?」
「そうだよ」
「じゃあ、約束を忘れるなよ。オマケでカードを一枚つけろよ」
「約束は守るよ。良いカードを付けるよ」
悪魔が俺にカードを一枚投げて来た。
これで合計八枚のカードだ。
あ……。
なんか目を空けているのに、ぼやけて来た。
カードが体に吸い込まれる。
なんか眠い。
「おい、悪魔……」
「クフフフフ、また会うかもしれないね」
「てめえ……」
強い光を感じる。
俺の脳に直接届いている。
ああ、暖かい。
ああ、まぶしい。
俺は意識を失った。
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