第86話 おうとへゴーでしゅ 1
翌日、アルバートさんから渡された服を身にまとった
それは、黒猫型のリュック。もちろん、もっふもふな毛で作られているうえ、頭と尻尾、手足もある。
他にも黒い虎と黄色と銀色のドラゴン、蜘蛛どころか骸骨まであった。当然のことながらデフォルメされていたり。
つーか、仕事がはえーよ、キャシーさん! 昨日話したばっかりじゃん!
他にも、私サイズのポンチョもあるんだから驚いた。
「ふおぉぉぉっ!」
「あくまでも試作品だから、裏の縫い目が荒いんだけどね」
「しょんなことないでしゅ! しゅてきでしゅよ!」
「そう? そう言ってもらえると、アタシも嬉しいわ!」
うふふ~とご機嫌な様子のキャシーさんだが、目の下にはうっすらと隈ができてる。ほとんど寝てないのに、馬車での移動は大丈夫なんだろうか。
そんな心配を他所に、キャシーさんは元気いっぱい。まあ、本人が元気ならいっかー……なんて考えていたら、アルバートさんが朝ご飯を持ってやってきた。全員で挨拶をしたあとご飯にありつく。
パンと温野菜サラダ、具材がたっぷりと入ったブラウンシチュー。お肉は特産品でもある、牛肉だって。
私のは小さく切ってあってとても食べやすい親切クオリティー。お肉を食べるとほろほろと崩れたあと、溶けるようになくなった。
なんつーうまい牛肉やー! 野菜も甘みがでていてとっても美味しいし、パンも柔らかしっとりなロールパン。ロールパンといっても、見た目が似ているだけだけど、それでもミルクの風味がするからミルクパンのようなものなんだろうと推測。
温野菜もホカホカで、ジャガイモはほっくり。ドレッシングはオリーブオイルと塩だけのシンプルなもの。だけどそれが野菜の旨味や甘みを引き出していて、いくらでも食べられそう~♪
ごちそうさまをしたあとは寛ぎ、本日の予定。といっても、補給するようなものはアルバートさんが仕入れてくれたとかで、買うものはなかったりする。
他の滞在理由も特にないし、紹介してくれると言っていた職人と工房は王都にあるそうで、視察ついでにアルバートさんの案内でこの国の王都に行くとこになった。
「ばちゃでにゃんにちかかりましゅか?」
「夏なら五日から七日だが、今の時期は十日以上かかるな」
「ゆきなぢょのてんこーのしぇいれしゅか?」
「ああ。あとは道の状態や馬車の性能も含まれる」
「にゃるほどー」
現代にっぽんなら、スタットレスタイヤやチェーンをつけてる車のほうが有利なのと一緒ってことか。とはいえ、魔法がある世界なうえ、私たちが乗っている馬車は神獣であるテトさんのお手製なわけで。
しかも、馬が普通の馬ではなくゴーレム馬。なので、魔力の残量を気にしておけば、怪我や餌、休憩も必要ないという優れもの。
それを踏まえるともしかしたらもっと早く王都に着くかもしれないと、アルバートさん談。
そんなわけで、出発準備――といっても着替えただけだが、準備を終えたあとは宿を出る。すぐに馬車が目の前に停まり、テトさんに抱っこされて馬車に乗り込むと、すぐに出発した。
さて、今まで通ってきた国では王都と呼ばれる場所に行ってない。どんなところか楽しみー!
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