超短落語

ねーぶるよっしー

湯屋

出囃子♪でんでんちんちんでんちんちん♪

 時代によって美男美女の基準、定義には流行(はやり)があるもので、それは文学や時に絵や写真として現在に残っています。

 例えば美人画で有名な英泉にしても、胴と頭のバランスが今では考えられないような遊女を描いていたりもしています。

時代の遺物から、その時の美人の観念を窺(うかが)うことができるものですなぁ。


熊:おい八っ、角の湯屋に近頃若ぇ女が奉公してるだろ!?

八:おおぅ、おいらも見たよこないだ。番台に座ってたなぁ。

熊:いい女だと思わねぇか!?

八:そうかぁ!?たしかに、いまどきの器量かもしんねぇが、おらぁあんまり好み

  じゃねぇなぁ。第一おめぇ、話もしねぇでいい女かどうか判んねぇだろ!?

  何か言葉交わしたのかい?

熊:い~や。

八:それでいい女だってなんで判る?

熊:勘っ!

八:…おい何だい、急に口数少なくなっちまいやがって。

  …ヤダよおい、空なんかポカーンと見て。雲以外になんか浮いてんのか!?

  …おい熊、熊ってばよ!

熊:おっ何だ、まだ居たのかい!?

八:お前が帰って来たんだよ!

  その様子じゃだいぶご執心だなぁこりゃ!

熊:ああ、湯屋の女にのぼせそうだ。


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