3話:求められたいのに求められないという事
土方さんはその後車を出し私の家の近くの駅へと送り届けてくれました。
私は帰宅すると、アレは強姦だったのでは無いかと思い初め、段々腹が立って来ました。
大体、タイプが17、8ならわざわざ15歳の自分になぜメールを送ってきたのか、ヤれりゃあなんでも良いのか?
ここからは憶測に過ぎませんが、何故当時の私が急に強姦だと思い憤ったのか順を追って考えてみると、その頃の私は愛や恋に対して幻想を抱いていたのではないでしょうか
しかし、相手はヤるだけヤってフェラをしなかった。
あの行為が愛であり同意の上だとするならば、相手も私に対して手コキやフェラをしなければおかしい。
しなかったという事は、あの私がゲイの普通のセックスだと思っていたのは実のところ強姦に過ぎなかったんだ!
そうだ、あれは強姦だったんだ!
多分、その時になってあれが強姦だったのだと私は気付いたのだと思います。
そして、この時に愛も恋も精子も血も、一緒にトイレに流してしまった。
その後私はスマホで条例や法律を調べ、同性同士でも強姦罪は適用される事や、15歳でも児童ポルノにあたる事を知ります。
(今考えると幼稚ですが)私は土方さんのメールアドレスの名前を「クズ畜生ゴミレイプ野郎」に変えた後、警察に電話しようかと悩みました。
正直に言えばそれ程今回の仕打ちに対して腹が立っていたのです。
これも憶測に過ぎませんが、当時警察沙汰にしようとする程憤っていた理由は、強姦が理由では無かったように思えます。
誤解を恐れずに言えば、相手がフェラしてくれなかった事に対して怒っていたのです。
もっと言えば、強姦などどうでも良かった。
女性では無いから妊娠の危険も無いし、ただアレは痛かったという事象に過ぎなかった。
ただ、こっちが求められたいのに求められなかった事が、フェラチオされなかったという事ただ一つに集約され、それによって鮮明に裏切りを、愛セックスの崩壊を現していた。
何度も言うように、当時の私はセックスが愛だと信じていましたし、勿論全て憶測に過ぎません。
電話を思い留まったのは、警察沙汰になると自分にも危害が加わるだろう、当然警察はそれまでの経緯やメールの内容を調べるだろう。
自分がレイプしてくれと頼んだのでは無いにしろ、掲示板で出会いを募集したのは自分だし、相手のメールに対し会おうと返信したのも自分だ。
普通に考えれば有り得ない事ですが、もしどっちもどっちという事になり相手が無罪放免にでもなったら?
まんじりともせず夜を過ごす内に、土方さんからメールが届きました。
内容は「今日はごめん」という一、二行の文章と謝罪する顔文字でした。
私はそのメールに対し返信せず消去し、警察に電話する事もなく、眠りについたのでした。
ただ、今度はなるべく歳の近い相手を探そうと思いながら。
追記:強姦された話はこの回にて終わりです。
次回からはゲイ向け出会い系掲示板で出会った同年代の人達についての話を書こうと思います。
大体3話を予定しておりますので、引き続きお読みくださると幸いです。
なお、勘違いしないで欲しいのですが、私が眠ったのは決して強姦に対して泣き寝入りしたという事では有りません。
かと言って、土方さんに対して許した訳でも有りません。
その後の私の活動を見ても、私はここでセックスへの愛や恋といった童貞じみた幻想を捨て、性欲、身体だけのセックスを受け入れたのだと思います。
だからこそ警察沙汰にする事も無く眠れたのであり、この実体験をなんの嫌悪感も無しに今ルポルタージュ出来ているのですから。
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