迫り来る不協和音の担い手?

さて。何やかんやで無事にディベートに成功し、とりあえず2つの村は一応は纏まったと言える。


まぁ、この中腹の村については戦闘要員としてではなく拠点としてや後方支援を期待している。


最悪こちらの足を引っ張らなければ御の字だ。




次の目的は大神官の救出と法の神殿の奪還だ。



大神官と言うのは、法の神殿の転職システムを管理する者である。小説版では大神官の力で、転職希望者の潜在能力を変質させるとの事で、転職システムそのものと言っていい程の重要人物だ。


この大神官だが、デモクエ7では利発な幼女が務めており、憂鬱なストーリーの多い今作での心の清涼剤として1部の大きなお友達諸兄に人気を博している。


勿論、俺としても好きなキャラクターだ。

と言うより、デモクエ7は本当に鬱なストーリーが多く、可愛いキャラクターの存在に色々と救われるのだ。




「旦那。ちょいと不味い事になりました。」


神官長の小屋で今後の作戦を話していると、ロンフーが割って入って来た。


「もしかして、捕らえた監視役が脱走したか?」


「⋯⋯見てたんですかい?まぁその通りです。神殿の魔物達に知られたと考えた方が良さそうです。」



ちなみにこれ。原作ゲームの通りである。

これにより人に化ける力を持った魔物が送り込まれ、神官長のオッサンがその餌食となる。

まぁ原作通り進むとは限らないが、参考にはなるだろう。



「まぁ遅かれ早かれ、だしな。俺が奴らなら、人に化ける魔物を送り込んで内部崩壊をさせるかな?目標は俺やお前、ミレーヌ、生き残った神殿騎士、それに神官長殿辺りか?」


「ふむ。確かにそんな事をされたらこの集団は持ちますまい。どう取り繕っても、我々は辛うじて成り立つ烏合の衆でしかない。疑心暗鬼の種を巻くだけでも瓦解する可能性が高い。」


先程とは態度が真逆の神官長が賛同する。

まさかここまで態度が変わるとは·····。


俺のディベートの腕も捨てたものじゃなかったらしい。まぁ、ぶっちゃけこっちが勝手にやるから邪魔するなと話しただけなのだが。



「なるほど。あの魔物達がやりそうな卑怯な手だ。

なるべく警護を増やしやしょう。その中でも狙われやすそうなのは誰だと思いやすか?」


「神官長殿とミレーヌだな。この村の中心人物である神官長と、吹き溜まりの村の中心人物であるロンフーや俺に近いミレーヌ。2人とも戦闘職ではないので襲いやすいし·····。」


「なら神官長の警備を増やしますぜ。俺や神殿騎士については固まって動きやしょう。ついでにこの小屋を本部拠点にしますが、構いやせんか?ここに皆で詰めればそうそう襲われないでしょう。」


さらりとミレーヌを無視するロンフー。


「ミレーヌを無視する気か!?」


「うるせぇ親バカ!お嬢をどうにかするんなら魔王でも連れてこなきゃいけないでしょうが。」


「ふん。そんじょそこらの魔王クラスに負けるような鍛え方はしていない。」


「·····儂が言うのも何だが、シュウ殿。貴殿、結構面倒臭いな。」





大神官は村の北側にある洞窟に捉えられている。

そこまで長くはないがダンジョンになっており、監視役が逃げた今、あまり時間は掛けられない。


さっきはああ言ったが、実際には内部崩壊以外にも兵糧攻めや神殿にいる魔物が一斉に攻め込む可能性もあるので、可及的速やかに動く必要がある。



俺とミレーヌでダンジョンに突入する為、ミレーヌを探しにロンフーと村の外へ出た。



「あぁ。お父さん。丁度良かった。何だか変な魔物に襲われたのよ。」


さらりとその手に持った肉で出来たグロテスクなスライムの様な魔物を見せて来る。


グチャ。


あろう事かそのまま肉スライムを握り潰してしまう。


あれって確か、例の人と成り代わる力を持った魔物だったはず·····。マンイータって名前でそれなりに強かった様な·····?



「うわっ。ばっちい·····。何か私に成り代わるとか何とか言っていたからとりあえず倒しておいたけど。」



⋯⋯うわーお。




「旦那。何か言うことあります?」


「よくよく考えたら、ミレーヌが初めて倒した魔物は魔王だった。」

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