野生の魔王が現れた!!
ザシュッ!!
ステータス的にはまだカンストしていないとは言え、レベル99の膂力とケーニッヒメタルの剣が生み出す破壊力がスライムを核ごと吹き飛ばし、ビッグキャタピラーをなます切りにし、ハンマーノームをハンマー毎叩き切った。
まさに無双である。
リリーも装備性能のお陰か、危なげなく倒している。
「ふぅ。これで140匹目かな?」
「と、とんでもない速度ですね。」
何せレベルカンストで準最強装備だしな。
特にリリーが『口笛 』のスキルを覚えてからが早かった。やはりリリーたんは尊い。QED。
しかし、あんまりこの世界では魔物を狩る場合、数をこなさない様だな。
さっきからちょこちょこ魔物狩りをしている冒険者を見掛けるが、せいぜい20~30匹も狩れば引き上げている。
「1人頭30ゴルドも稼げば充分ですから。あまり無理して怪我をしたら元も子もありませんしね。」
そうか。リアルだと死ねば死ぬからなぁ。
それに怪我をしたらもう稼げないだろうしな。
実際、リリーもそれで餓死する直前だった訳だし。
日が傾く頃には冒険者達は帰路についており、残っているのは俺達だけになった。
一休みしながらステータスを確認する。
おぉ!熟練度が9まで上がっている!
このペースだともう少しでMAXの10まで上げれるな!
「リリーの『 口笛』のお陰でだいぶ時短出来てるな。そう言えば、リリーの職業は何なんだ?」
「む、『村人 』です。」
ふむ。職業はデモクエ7準拠っぽいな。
職業の数はデモクエ7が1番多く、基本職だけで50種類を超える。
その中でも村人はかなりの不遇職だ。
何せこの職についているだけで、全ステータスが半減するマイナス補正が着いてくる。
ただし、熟練度MAXで覚えるスキルが破格なので、村人経由でキャラを育てるのが廃人御用達の育成ルートだ。
「やっぱり村人に冒険者は難しいですよね·····。
足を引っ張る村人とはパーティを組めないって馬鹿にされてきましたし·····。生まれついた時に神様から与えられる物ですからどうしょうもないんですけどね。」
「いや。そんな事はないぞ。鍛えれば村人も戦力になる。確かに通常では熟練度は上げにくいが、鍛えさえすれば魔王だって倒せるさ。」
実際、村人パーティで魔王を倒すプレイ動画もネットに転がっているしな。
「そんな風に言ってくれるのはシュウさんだけですよ。本当に、嬉しいです。」
どうやらルイーゼの酒場でリリーが馬鹿にされていたのは職業に原因がある様だ。
照れて来たのか、顔を赤らめて俯くリリー。
こ、これは·····行けるのではないか。
年甲斐もなく、バクバクと心臓が爆音を立てる。
「何なら『 法の神殿』で転職するのも手だ。リリーさえもし良かったら、俺と━━━━━」
豪っ!!!!
一緒に来ないか?
俺の一世一代の台詞は轟音にかき消されてしまった。
おいぃ!誰だよ!
俺の振り絞った勇気を返せ!!
アラフォー童貞の勇気を踏みにじるとか、一体何様のつもりだよ!!
それはまさに悪魔だった。
真っ黒い大きな蝙蝠の翼。真っ赤な瞳。
耳元まで裂けた大きな口。
頭から大きな角が2本生えている。
やけに長い手に、身の丈ほどある杖を持ち、
杖の先端にはチャームポイントの髑髏を飾っている。
その横には魔力で出来た黒い玉の中でリリーが囚われている。
あー。この構図見覚えあるわー。
デモクエ1で見たわー。
初代デモクエ。正式名称デーモンクエスト1。
使命を帯びた勇者が魔王たるデーモンを探し出し、
囚われのお姫様を助け出すストーリーだ。
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