会社員と緑の守護者(19)
俺とアスカは森から、広場のように開けた土地に立ちすくんでいた。どうやら大木から逃げれたようだ。
それにしてもここは……?
「ここはエルフの里だ……いや、里だった場所だな。」
ケニーが俺たちに話しかけてくる。滅んだエルフの里。その場所でケニーが俺たちに語った。
滅んだ原因はあの古木のようだ。そして残ったのはケニーと姉だけ。
「うぅぅ……ん。」
姉が起きた。
「ここは……?」
「姉さん! もう大丈夫だよ。」
「ケニー! どうして……あの古木は!? 倒したの!?」
「まだ倒せていないよ、姐さん。」
「そうなの……。ケニー、何故人間がここにいるの?」
「エルフの里が襲われたみたいに、森が赤黒い木々に覆われたんだ。その時に近くにいたから一緒にここまで連れてきたんだ。」
「そう……森まで……ケニー、精霊様は見つかった?」
「それが……古木が精霊様を飲み込んでしまったんだ。」
「古木が精霊様を……最悪ね。」
姉のエルフが青白い顔でつぶやく。
「でも、何とかして止めないと。」
ケニーが意気込む。
「無理よ。」
姉のエルフがすぐに応える。
「何とかしないと森が、ウルドの街がダメになるんだろ? 方法はないのか?」
俺の問いかけに二人のエルフは下を向いて黙ってしまう。
「……ひとつだけ。」
長い沈黙をそっと破るように、姉のエルフがつぶやいた。
「本当?」
アスカが聞き返す。
「えぇ。古木を倒す唯一の方法があるの。」
「どうやって倒すの?」
「古木の足元に泉があるわ。その泉の中にこれを投げ入れるの。」
姉のエルフは首にかけてあったネックレスを
外した。ネックレスを分解し、そこから3つの欠片を取り出した。
「それは?」
「エルフの里に伝わる薬よ。森を破壊して再生を促す時、エルフはこの薬を使っているの。」
「その薬を入れればいいの?」
「そうよ。入れるためには、無理をしてでも近づくしかないわ。それぞれが持って。どれか一つでも入れば勝ちよ。」
姉のエルフは俺とケニーに1つずつ欠片を渡していった。こんな欠片であの大木が倒せるなら何で今まで倒さなかったんだろう?
疑問が湧いてきたので、姉のエルフに尋ねようとしたところ
グラグラ……
『はっはっはぁ。やはりここだ、やはりここだ。』
大木の声が響いてきた。どうやら俺たちを見つけたようだった。
「さぁ、行くわよ。」
姉のエルフ、ケニーに続いて、俺とアスカも二人の後を付いていった。
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