閑話 VR課(7)

~side リツ(立花高久)~


俺たちは護衛を終えてすぐに、会社へと戻った。VR機から飛び出るように出てきた俺たちに部長はコーヒーを飲もうとしていた手を止めて驚いた。


「その急ぎよう……何があったの?」


「魔王を倒す協力したらレイッちが戻ってくるの!」


「……プリンちゃん……彼がそう言ってたの?」


「いえ、違います。ニーケインと名乗る女神です。」


「マッパ君……女神ってますますゲームだねぇ。とりあえず、時系列で説明してくれない?」


マッパさんがこれまでの出来事をまとめて部長にへと伝える。ニーケインと名乗る女神が世界に降臨し、魔王が復活したことを伝えてきたこと。そしてどうやら俺たちにだけ勇者を手助けすると0.1ミリメガネが現実世界に戻れることを伝えてきたこと。


魔王の誕生と勇者そして、0.1ミリメガネの手掛かりになりそうな話しを聞いて、落ち着きだした部長はまたもや驚いている。


「……そうかぁ。」


たった一言の言葉だが、部長の色々な思いが詰まっているようだ。


ピピピ……


部長のスマホが鳴りだした。部長はスマホの画面を見て怪訝な表情を浮かべ、電話に出る。口元に手をやり、小声で話しているかと思うと、知り合いに会ってくるといって会社を飛び出した。


VR課に残された俺たちは顔を見合わせた。マッパは全員の顔を見て、今日は休まないといけないねと言ってきた。たしかに。どいつもこいつも……ひどい顔をしていたからだ。俺もマッパやメイと同じように、隈を浮かべて幽霊のようなひどい顔をしているはずだ。


プリンさんはすぐにでもVRに戻ろうとしていたが、俺と姉さんで止めた。いつもみたいに振りほどくだけのチカラも今日はない。マッパが説明している間、姉さんに抱きしめられて安心したのか、プリンは静かに寝ちまいやがった。


……さて、俺も少し疲れた。ソファーで横になるか。


アイマスクと毛布を掴みとり、俺は愛用のソファーにもたれかけた。


0.1ミリメガネ……


待ってろよ。必ず帰れるようにするからな。


俺の瞼は重力に逆らえずに俺の視界を黒く静かに染めていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る