第364話えがいてみる

 わたしはお絵描きが大好き。


 アナログからデジタルまで、小さいころからいろんな技法で絵を描いてきた。


 最近ハマってるのは携帯端末にインストールしたペイントアプリ。


 画面が小さくないか不安だったけど、PCで作業するときと変わらない操作性で作品を仕上げれる。


 中でも選択範囲を囲んで色を塗る作業はすごい。


 ドット単位の塗り残しがないうえに作業が倍以上早く仕上がる。


 ブラシ設定をカスタムすれば、アナログに近い「入り」と「抜き」を再現できる。


 線の抽出作業もワンクリックで可能だし……っと、自分の世界に入り込んでいたみたい。


 一度描き始めたら止まらなくなっちゃう。


 頭の世界を白い紙に定着させるまで、どんどんわたしはのめり込む。


 一通り描き終わったところで、イラスト投稿サイトに作品をアップする。


 すると閲覧者からの評価やコメントが届く。


 その中に、イラストレーターを目指すあなたのメッセージもあった。


「また一緒にお絵描きしような!」


 と気軽に言ってくるあたり、小さいころから変わっていない。


 自分の目標に真っ直ぐで、素直なところもそのままだ。


 そんなあなたをときどき羨ましく思う。


 将来をうまく描けないわたしは、空に伸ばした指先を、ふわっとさまよわせては、ため息をはく。

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