第17章「罪の罰」その8


何で長く生きてる人は、あんなに偉そうなんだろう?


先生っていうのはどうも堅苦しい、自分の思い通りにならないとすぐ怒る。


調


厳つさとプライドを兼ね備えた僕が最も嫌う大人だ。


こういう人はきっと社会にはたくさんいて、自分の意見と相反あいはんすると必ずキレる。


そして、山寺や古谷のような大人にどんなに正当な意見を言おうが自分の非を認めさすなど不可能なのだ。


子どもの頃からこんな嫌な奴では無かったんだろう。


数十年と長い年月をかけて、こんな性格になったかと思うと、何だか世の中って恐ろしい。


あんな真面目そうなクソ親父でも家に帰れば自慰行為じいこういをしているのかと思うと、


何だか世界情勢なんて取るに足らない問題に思えてきた。


チャイムが鳴り、ようやくこの地獄のような時間が終わったとホッとした。


しかし、まだ地獄は続いていた。


「今日は章末問題までいこうと思っていたが、間に合わなったので明日までの宿題にする。


明日の放課後、クラス委員が集めて、私の職員室の席に置いていくように」


古谷先生はそう言い残して、自分が描いた黒板の白文字も消さず、颯爽さっそうと教室を去っていた。


緊張の糸が切れたのか、教室が一気にざわざわし始め、



雰囲気ふんいきや空気感ってのは誰に教わることもなく、大人に近づくと徐々にわかってくる。


それが良いことなのか、悪いことなのか、今の僕にはよくわからない。



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