第15章「世界に関わる者」その6
彼女の話をまとめるとこうだった。
多勢に無勢、結果として一年五組はお化け屋敷をすることとなった。
しかしそれでも占いをしたかったので一年六組の教室を借りて、二人だけで占いをしようとなった。
そして今日その友だちがタロットカードを持って来たらしいのだが、少し目を離した隙にその一部が無くなっていたらしい。
そこには犯人と思われる人物から置き手紙があり、内容は文化祭の出し物全てから備品を一つずつ盗むことが示されていた。
そこでこの東海という女子は、わざわざ六組が劇をしている中、舞台裏に入り犯人を探していたというわけだ。
「友だちが言うには誰かに心当たりはないようなのです」
そんな怪盗ル○ンみたいな奴に心当たりがある方が怖いけどな...
「一応聞いておくけど、それって友だちの自作自演じゃないのか?」
僕は疑うわけでもなく、冷静に聞いたつもりだったがどうやら彼女の癪に障ったらしい。
わかりやすいように眉毛を釣り上げて、ぶう垂れた。
「何を言うのですか!?心外です。私の友だちはそんな嘘はつきません。ちゃんと証拠も見せてくれました」
俄には信じられないけど、そういう愉快犯がいないとも限らないしなぁ。
「そうなの。じゃあ、頑張って」
助けたいのは山々だが僕は探偵じゃないんだ。
人の命がかかっているのならまだしも、出来ないことを引き受けるのは厳しい。
それに彼女の話が全て信じるに値するとは思えなかった。
「ちょっと待ってください」
この場を去ろうとした僕をまた止めてきた。
「何?」
「ここまでネタを明かしたのです。あなたも協力するのが筋でしょう」
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