第11章「確かな憩い」その2


「明日から夏休みね」


平木は筆箱を鞄にしまいながら、確認事項を言った。


そうだ、夏休みだ。


四か月ほどの初めての高校生活が終わり、


今日で三者面談を除けば、学校に来る機会はない。



夏休みが始まる前に言わなければ、、、、


「ひら…」


「じゃあ、ホールルームを始めるぞ」


秋山先生が小走りで教室に入って、教卓に立った。


これで、何度邪魔されたことだろう。


先生は汗じめた顔でホールルームを始めた。




「今日で一学期が終わって、これから夏休みに入る。


君たちにとっては高校初めての長期休暇になる。


遊ぶのも結構だが、当然すべての科目に宿題が出ると思う。


休息と勉強のバランスを計画して決めなさい。


大人に近づくほど自分の選択が重く、多くなってくる。


その癖をこの機会に付けてほしい」



秋山先生はさらっとこういうことを言う。


妙に迫力のある言葉遣いと、


一体どこから学んだかわからない教訓を僕らに教えてくる。



「あと、三者面談の日程と時間をしっかり確認しておくように。


僕からは以上だ」


そう言って、西山と新田に任して、教室を去っていった。



「じゃあ、宿題があるから一番前の人、取りに来て~」


最前列の人が教卓に行って、宿題のプリントを取りに行った。


まったく、最前列と最後列は何かと手伝わされる。


すべての科目に宿題があるようで、すごいプリントの数だった。


まだ手元に来ていないが、もうやる気を失ってしまう。

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