言語化を試みた概念たち、または日記
てにゃわにゃ
ミッちゃんと私
ミッちゃん
なるほど、けれどまァやはりと言うべきか、誰でも似たようなことで悩むモンですねェ。ええ、ええ。私にも「ミッちゃん」という友人がいるのですが……まァ仮名なんですけど。
それでそのミッちゃんなんですが、どうにも馬が合わなくて。いえ、その子のことは好いているんですよ? ただ……いや、そうですね。馬が合わないってのは、ちと言い過ぎたかも知れません。
何にせよ、私と彼女じゃ物の考え方が違うようで、常々という程ではないのですが、時折はて、と思うのです。それを理由に仲違いするのも本意ではありませんし、本人にはあまり言わないようにはしているんですが。
ただまァこれもやはりと言うべきか……周りにも私と似たようなことを思う人が居るようでしてね。今回ばかりは堪らない、という時にだけ、聞いてもらうことにしているんです。ああ、勘違いされたくないので言いますけど、なにも陰口って訳じゃあないんですよ? ただどうしてもという時にだけ、私の気持ちの整理を手伝ってもらっている訳です。
けれどこういう事って、むやみやたらに話すとよろしくないでしょう? それを弾みに変に距離が開いたりなんかしたら、彼女を好いている私が困る。ええ、そうですよ? 最初にも言ったじゃあありませんか。ですから私、理屈と感情とを分けられる人にだけ、話すようにしているんです。ええ、これも私の主観ですし、実際のところなんて知る由もないですがね。けれど、少なくとも考えて物を言える人ってのは居るでしょう。ええ、そうです。ですからこれは、「彼女が」私と合わないって話じゃあなくて、「私が」彼女に困っているって話なんです。ええ、大きく違いますよ、もちろん。
そういう訳で、私は彼女と仲良くしたいものだから……そうね。だから、彼女を悪く言う雰囲気を作るのと、彼女に理想を押し付けるのと、それだけはしたくないんです。
よく言うでしょう、作品に惚れたなら作者の人格を知ろうとするなって。アラ、聞いたことありません? では今言いました。……ふふ、一度言ってみたかったんです、ごめんなさい。そう、それで、ええと……そうそう。作品に惚れただけなら人格が気に入らなくても、それには目を瞑るか、まァ作品ごと嫌うことができるでしょう? 一方的な関係なんですから、わざわざ文句を言うのは頓痴気のやることです。けれど私はミッちゃんの気立てを好んで、彼女の友達をやっているんです。けれども彼女とは価値観が合わない、だから難しいんです。ええ、別ですよ? どんなに性格が良くたって高価な物ばかりを持ちたがる人は苦手だって貴方も言っていたでしょう。あれと同じです。ですから彼女の合わない部分だけを、見ないフリしてしているんですが……これがどうにも難しい。ええ、見ないフリが正しいとは思っていませんよ。人付き合いはどちらが溜め込んでも上手くいかないものですから。ただミッちゃん、意見が合わないと自分自身が否定されているかの様に思いがちな所があるので。それで誰かに肯定されたくて、話に人を増やして、その人とも意見が合わずにさらにいじける、というのが定番になりつつある。それを見ていると、ああこれは、私の不満は本人には伝えない方が良いなと思ってしまうのです。ええ、良いという表現も正しくありませんね。結局は自分が楽なようにと考えてしまっていたのだと思います。とどの詰まり、そのツケが回ってきたという事でしょうねェ、ええ。もちろん私が彼女に困っているのが、ですよ。
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