ダンジョンだらけの異世界に転生したけど僕の恩恵が最難関ダンジョンだった件
まるせい(ベルナノレフ)
第1話プロローグ
毎日働いては帰宅して飯と風呂を済ませた頃には深夜をまわっている。
たまの休日といえば取り溜めしたアニメや積んであるライトノベルを読んでいるうちに一日が過ぎて行く。
高校を卒業して就職した工場に勤めて20年。気が付けば38歳になっていた。
不規則な生活な上、運動不足もあってか腹は出ており。ストレスのせいなのか頭皮は薄くなりつつあった。
この年になれば何かを変える気にもならない。中間管理職のヒステリーを聞きつつも仕事を機械的にこなしていく。
「本当につまらない人生だな」
思わず言葉が漏れてしまう。思えば高校を卒業した当時が一番気力が満ち溢れていた。
現在勤める工場はステップアップとしか思っておらず、いずれは出世していき、スカウトされキャリアアップしていくのだと根拠もなしに信じていた。
だが、現実にはそんな事は無い。ギリギリで組まれた日程のため、本日も遅くまでの作業を終えて帰宅する。
安い賃金でやる気がない人材が揃っているせいで、作業は予定していたより進まず管理職からは「この給料泥棒が」と罵声を浴びせられたのだ。
こんな日はとっとと家に帰って酒を飲んで忘れるに限る。
俺はコンビニで酒とつまみを買って帰ろうとしていたところ――
――数人の男女の大学生とすれ違った。
大学生達は楽しそうに笑っていて、まだ社会の闇を目にしていないのかその笑顔はとても眩しくうつった。
俺はその姿を眩しくも卑屈な気持ちで見ていた。
生まれてからこれまで彼女が居た事が無く、青春を送る彼らに嫉妬をしたのだ。
次の瞬間、横からスポーツカーが突っ込んできた。
彼らは突然の事態に身体が動かない。
身体が反射的に動いていた。目の前に車のライトが飛び込んでくる。
俺は彼らを突き飛ばす事に成功すると次の瞬間――――
――意識が無くなった
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