ゾーイ錯乱


「やはり、ここにあったのね……私も歳かしら……まぁ大体片付いたし……」

「上等の新鮮血液でも飲んで、すこしお昼寝でもしましょう……」


 簡易造血装置とは、携帯用の小さな魔法瓶の水筒みたいなもの。

 小さなダイヤルがついており、血液型が書かれています。

 ゾーイはBに合わせる。


「やはり血液は、誰が何と言おうがBが一番♪」

 牛乳をいれて、ダイヤルを取りあえずBにあわせスイッチオン。

 電源は太陽光と、人の作る電気でのどちらでも動く。


 三十秒ほどで、白い液体は赤い液体に変わり、蓋をあけると血なまぐさい事……極上のB型となった。


 真っ赤なサラッとした、その赤い液体をグラスにいれて、おいしそうに飲み干したゾーイ……

 疲れていたようでお昼寝を……


 うとうとしていると……下身体が……右手を呼びます……

 ヌメっとしている……全身が感じやすく……ゾーイは声が出そうです……


 胸も左手を呼びます……少しでも触れると……


 はぁ……ルシファー様……この体を……はしたないゾーイを……

 ほてった体を自分で慰める為に……

 ルシファーに抱かれたことを思い出し延々と……そしてエスカレートしてきたゾーイ……


 ……狂う……助けて……ルシファー様……


 ……売女(ばいた)……この淫売……

 幻が浮かび上がる……


 オットー……


 仲間の仇も取らずに……敵に身を任せ、よがり狂う恥知らず……

 許して……女は抱かれると……仕方ないの……


 許す?なら仇をとってくれ……私の魔眼を取り返してくれ……

 眼をくりぬかれた、オットーの顔が迫ってくる。


 ……オットー……私を壊して……何でもするから……

 なら俺の物になるという証を示せ……何でもするのだろう……

 するわ!何でもする!何をすればいいの!


 乳首の右をはねてみろ……

 はぁぁぁ……

 言われたとおりにゾーイは刎ねた。

 激痛が走り、陶酔が全身を走る。


 その頃になって、やっとヴァンパイアたちの治療を終えたルシファーは、ふと自らの手落ちに気が付いた。


 フルーツガール産ホモ・サピエンス母乳を購入した者を調べ上げると、閉鎖したルシファー・ステーションにいた、ヴァンパイア族のリストにいない者が三名いることが判明。


 その内二人は宇宙連絡鉄道に乗っており、まだ飲んでいなかったようで回収できたのだが、後一人、ゾーイだけは、どうやら惑星ヴィーンゴールヴに降り立ったと思われた。


 ゾーイはブラッド・メアリー最強の戦士、

「万一のことがあれば、司直では手に負えまい、私が行く!」

 そう決意したルシファーは、ゾーイの位置を確認、アパートメントに転移してきた。

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