第301話 ロザリーの地下迷宮
ロザリーが
「ロザリー、せっかくだからさ……『退廃と崩壊の泉』の
面白がるように笑うカイエに――
「カイエ様がそう言うのでしたら……仕方ないですの。ロザリーちゃんがお相手をしますわ!」
カイエが圧倒的な力で
「カイエ……私たちは、普通に
ショートボブのハーフエルフ――レイナが少し不満げに首を傾げる。
「おまえたちが『暁の光』……カイエ様から話は聞いているのよ」
声を掛けられて、『暁の光』の面々が視線を集める中――ロザリーは招かざる客に、詰まらなそうな顔をする。
「私はロザリー・シャルロット……
カイエに言われたから一応挨拶はしたが――ロザリーには『暁の光』に何か価値があるとは思えなかった。ありふれた冒険者パーティーにカイエが構う理由が解らない。
「
右手を差し出すレイナに、ロザリーはクスリと笑う。
「おまえがカイエ様をどう思っているか……ローズさんから聞いているのよ」
「な……何よ、いきなり!」
レイナの顔が一瞬で真っ赤になる。
「そ、それは……ま、間違っていないけど。い、いきなり、そんな事を言われても……」
慌てまくるレイナに、ロザリーは勝ち誇るように言う。
「フン……ロザリーちゃんはカイエ様の愛人なのよ。身の程知らずのおまえなんか相手に……」
いきなり後頭部を叩かれて、ロザリーは蹲る。
「カ、カイエ様……酷いですの!」
「あのなあ、ロザリー……いい加減にしろよ。レイナだって俺に協力してくれる
「カイエ……」
カイエに庇われて、レイナは嬉しそうに頬を染めるが――ロザリーの方は、完全に拗ねてしまう。
(ローズさんたちやロザリーちゃん以外を『仲間』だなんて……)
そんなロザリーの頭を……カイエは優しく撫でると、顔を上げたロザリーに笑い掛ける。
「ロザリー……俺にとって、おまえが特別だって事くらい解ってるだろ? だからさ……いちいち喧嘩なんて売るなよ」
「カイエ様……それくらい、ロザリーちゃんも解ってますのよ」
ロザリーは笑顔を輝かせる。形勢逆転――今度はレイナが落ち込むが、このくらいでへこたれるレイナではなかった。
「みんな……うちのロザリーが済まなかったな」
純白のローブを纏う金髪碧眼の知的美人の圧倒的な存在感に――レイナたちは息を飲む。
「私はエスト・ラクシエル……ローズと同じくカイエの妻だ」
そう宣言しながら――エストは嬉し恥ずかしそうに、カイエの腕に抱きついた。
※ ※ ※ ※
カイエとエストが
さらには、リッチや
しかし、『暁の光』ならば何とかギリギリ倒せる程度まで、カイエとエストが数を調整するから――レイナたちにとっては、非常に効率の良い狩場となった。
『暁の光』は確実に強くなっている――カイエは実感しながら、アランの隣で剣を振るう。そしてエストが放つ魔法に……ギルとノーラは圧倒されながらも、食い入るように見ていた。
「ねえ、カイエ……私も少しはカイエの役に立ってる?」
「おまえたちは、確かにまだまだだけどさ……この世界について色々と教えてくれたし、。役に立つとか、そんな事よりも……おまえたちと
『退廃と崩壊の泉』の下層部分の攻略を、『暁の光』と一日掛けて進めた後――カイエはロザリーの期待に応える事にした。
『退廃と崩壊の泉』の最下層……その最後の玄室に、ロザリーは最強の刺客を出現させる。
ロザリーちゃんのラブリーラビット・バージョンⅥ――天使と悪魔と
かつての巨大な姿とは打って変わり――紫色の鎧を纏う
その
「結構強いな……これなら制約を課した神の化身や魔神だったら、十分に対抗できるレベルだな」
それでも『棘いばら》の神の化身』であるリゼリアと対峙したときに、ロザリーはラブリーラビットを使わなかった。
「それも解っていましたけど……ロザリーちゃんは
リゼリアが本気になれば――結局勝てないのは解っていたから、ロザリーは戦力を温存したのだ。
「なるほどね……ロザリーの判断は正しいと思うよ」
ラブリーラビット・バージョンⅥを――カイエは一瞬で再生する。
「そうだな……それに対魔法防御という点では、まだ改良の余地がある。例えば……」
エストが多重同時発動した
「ああ、そういう事ですのね。でしたら……」
彼らが何を話してるのか、『暁の光』の面々には解らなかったが――
エストとロザリーが、カイエの隣に立つに相応しい強者である事だけは、何となく理解出来た。
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