2ー57★シャツの効果
俺とエルメダ、アンテロの三人は薬止草を集められるだけ集めている。
そして、気がつくと日が暮れようとしていた。
『よし!とりあえず薬止草は集められるだけ集めたし、そろそろ小屋に戻らないか?』
俺のこの言葉に、アンテロとエルメダはニッコリと笑って頷いてくれる。
『そうですね、ナカノ様。今日は他にもやることがありますし、とりあえず戻りましょう』
『うん、お腹も減ったしね。でも…二人とも、ほんとに大丈夫なの?』
『お嬢様、私は確かに
俺の言葉に続いて、アンテロとエルメダも笑顔の他に言葉を返してくれたのだが…
『あー、それが不思議なことに大丈夫なんだよね。全く問題がないか?って聞かれると、さすがに…って感じなんだけど…でも、それでも今日ほとんどスキルを休みなく使ってたという割りには…不思議なんだけど…』
実は、今日一日ずっと俺はエルメダとアンテロに心配され続けていた。
と言うのも、その理由が俺が一切の精神回復薬を使用してないのも関わらず、休みなくスキルを使用しているからに他ならない。
俺たち三人は今日一日ひたすら薬止草を探している。
そして、色々な方法を話し合いながら試した結果、薬止草を探すのは俺の
と言うのもアンテロのスキルであれば、エルメダの目視による見回りよりもかなり精度が高いのが分かったからだ。
ただし、アンテロの場合はスキルだから精神を消耗することになる。
なので途中、
そして、その時間ずっと俺は
夕方になった今でも余裕がある。
考えられることと言えば…
『やっぱ、その下に着てるやつの効果?』
『だよね。やっぱり、エルメダもそう思うよね…』
そう、今朝ノルドに貸してもらった下着代わりに装備しているシャツみたいな装備品、これの効果に他ならないだろう。
今日朝手渡されたときには、どのくらいの効果があるのか半信半疑ではあったのだが…
いざ装備して一日を過ごしてみると効果の方が恐ろしいくらい体験できた。
ただ残念な事に、一点物という事実だけが悔やまれる。
下着なんだから、複数あることが前提だと思うのだが…
『うん。それって、他にないのかな…』
『ノルドの自作品で一点物って言ってたよね…あったら、作ってもらいたいよね~まともに依頼すると高いのかな…』
『どうだろうね…』
俺たち三人は、そんな事を気軽に喋りながら歩いていると…
『あー。ナカノ様たちでしたか?これは、これは。お目当ての薬止草の方は集まりましたか?』
数mほど先の木の影から、ノルドが現れて俺たちに話しかけてきた。
正直、先程その辺りはアンテロの能力で調べた後だったはずなのだが…
もしかするとアンテロのスキルは
『はい。ノルド様、お陰さまでこんなに集まりました』
『おー、それは凄い。と言うか…それは明らかに多すぎな気がするのですが…』
アンテロが笑顔で見せた薬止草の量にノルドが若干ではあるがひいている。
俺とエルメダは、アンテロに言われるままに集め続けたのだが…
『多い分には問題がないかと思ったので、出来るだけ集めました。余った分はノルド様に差し上げますので』
彼女はそう言いながらノルドに会釈をするが、一方で彼の方は少し困ったような顔をしている。
俺も昨日、少し聞いた感じだと薬止草の他の利用方法というのは、あまり無いらしい。
(だとすると…ノルドも貰えるとは言っても困るよね…)
『後、ノルド!今朝貸してもらった、この下に着ているやつなんだけど。これって凄いね!今日一日ずっとスキル使用してたんだけど、一回も
『はい、そうです。今まではどうしても材料が不足してましたからね。ただ今回、材料が入手できたので、もし宜しければお譲りしましょうか?』
『えっ…?くれるの?って言うか材料?』
『はい』
ノルドの「材料」という言葉に俺は引っ掛かりを覚えた。
と言うのも今朝、手渡しされたときには一点物と言っているのに対して、今会うと材料を入手できたとか言っている。
時間的には朝から夕方までの半日くらいしかたっていない。
『えっ…、そうなの?と言うか、そう言えばノルドの方は何をしていたの?』
『私の方は、昼過ぎくらいまでは
(俺たちよりも、アクティブに動いている気がする…
と言うか…俺たち食材集めの事をすっかり忘れていた…)
俺は、なんだかノルドに対して申し訳ない気持ちが大きくなっていった。
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