1ー49★可能性とは…?

都市の外に出たら、いつものよういつものように先ずはソフィアが魔法で上空から偵察を行う。

上からモンスターの位置を大まかにつかんだら下に降りてきて教えてくれる。

情報を掴んだらヘンリーの指示に従いモンスターに一気に奇襲をかけるといういつもの討伐の流れだ。

その間、アンテロは外壁近くの安全な場所で見学をしてもらうことにした。

そんな討伐が60分ほど続いたのだが、そうしたらモンスターが周りにいなくなったようだ。

ここでヘンリーが早いけど一度休憩にしようという話が出たので、俺とエルメダは一度アンテロを呼んでどういった印象なのか聞くことにした。


『アンテロ、どんな感じだった?』

『はい、皆様の戦い方を見ていて思ったのですが…一つ試したいことがあるのですが…』

『『『『『『試したいこと???』』』』』』


イーグルの全員と俺とエルメダが一斉に声を合わせた。


『はい、ただ…その…私の能力的な事なので、大丈夫なのかなと…』

『それは戦い方ってこと?』

『この話はモンスターの詮索方法についてです。戦い方は戦い方で別に試したいのですが』

『アンテロも魔法で空を飛べるってこと?』


エルメダがアンテロの話にすかさず食いついてきた。

確かに探すのであればソフィアのように上から見るのが最も手っ取り早いと俺も思う。


『いえ、上からは探せないのですが…もし宜しければ一度やってみたいと思うのですが…後…それでナカノ様とお嬢様ちょっと、あちらでお話よろしいでしょうか?』


アンテロが何か考え付いたのはいいことだと思いたい。

だが、俺とエルメダだけに話とは…若干不安な気もする…

俺とエルメダは顔を見合わせながら、アンテロの言われるままにイーグルから離れたところに移動した。


『お嬢様、ナカノ様すいません。お話というのは私の種族についてなのですが…』

『『種族?』』

『はい。あちらのイーグルの皆様は私が兎人族と言うのは知っているのでしょうか?』


このアンテロの質問を受けたとき俺は失敗したと思ってしまった…

と言うのも全く考えてなかったからだ。

思わず無言で俯くしかできない。


だが、エルメダの反応は俺とは全く違ったものだった。


『アンテロが、孤児院出身と言うのは伝えてるよ。それにソフィアおばさんは、お母さんのお姉さんだし大丈夫。もしアンテロが兎人族と知っても態度変えるようなことはしないよ』


エルメダの返答にアンテロがホッと一安心というような顔を見せた。

本来ならば俺もエルメダのような対応をしなければいけないとは思うのだが…

どうしても亜人の対応というのを忘れてしまう。

今回はエルメダのフォローに非常に助けられた形になった。


『ありがとうございます、お嬢様。それであれば問題はありません。思っていた能力を試せると思います』


アンテロにも勿論だがエルメダのフォローが非常によくきいているようだ。

顔全体に力がみなぎっている表情に思える。

アンテロが自身を持ったところで俺たち三人は再びイーグルの元に戻った。


『はい、分かりました。ではソフィアのポジションをアンテロさんで試してみましょう』


戻ってヘンリーに伝えたらヘンリーがみんなに向けて言ってきた。

今日のようにモンスターが少ない日の方が確かに試しやすいと思う。

他のみんなも同様の意見のようでヘンリーの言葉の後、みんなの視線がアンテロに集中した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る