聖女の話をしましょうか。~聖女図鑑~
やなぎ怜
イントロダクション
とある星のとある国。そこにはこことは異なる世界より「聖なる乙女」――通称「聖女」を召喚し、護国を神々に請願する巡礼の旅をさせるという、
一年をかけて準備されるその
時代が移り変わり、王朝が変われど連綿と続くその儀式は、前触れなく異世界の地へと
けれども
どうか繁栄の栄光を、発展の栄誉を、歴史に名を綴られ続ける誉れをくださいませ。
そんな願いを「聖女」らに託し、神々へと祈りをささげるのでございます。
それによってもたらされるは、豊穣のみとは言えますまい。国は
さてさて、ここにしがない魔女がおりまして。
彼女の仕事は「魔女」などと称されるからして、イマイチ怪しげな術の類いを駆使することが生業であります。
しかしまあ、言ってしまえば自由業ですな。
思い立てば王宮になど顔を出して、「おお魔女さま」などと呼ばれては、様々な悩み事を相談される――そういうことをしておるのです。
彼女も彼女で、そこは物語に出てくる魔女のように冷酷狡猾とはかけ離れ、言ってしまえばお人好しなのでございますから、あれやこれやと悩みに悩む。
しかしそんな彼女にも苦悩や愚痴を吐き出す機会は欲しいというもの。
そういうときに訪れるのがあなた――友人であるあなたの元なのでございます。
さてさて、今日の魔女はいったいどんな話をしにくるのやら。
――「ねえ、聞いてよ」
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