第18話 治療

 食堂に入った当夜はまずは重傷者から順に治療をしていった。殆どの者が治療を待っていたり、手の施しようがなく死を待っている状況だ。ただし当夜がいなければだ


 村の人口はおおよそ800人と言う。

 300人位が戦いに参加したのだと思う。鍬や包丁、鎌で応戦した者も多いだろう。

 当夜は部位欠損までは治療できなかったが、接合はできた。つまり腕を切り落とされていても、腕を持ってきて切断面に押し付けながら治療をすると接合可能なのだ。

 かなり高度な治療らしく、国全体でもおそらく1名いるかいないかの高度な治療だったらしい。そんな治療を行っている最中に見たのはシャクラ達と同じ位の歳で、死にかけている金髪の上品で可愛らしく綺麗と思われる女の子がいた。放って置けば数時間と持たないだろう。可哀想にと当夜は嘆いた。

 腕を切断されていて、刺し傷や顔に大きな裂傷がある。冒険者だろうか?上品な皮鎧を着ているが傷だらけだ。幸い切断された腕があり、酷だがアモネスに傷口を洗って泥を落とすようお願いした。まず切断面を綺麗にする必要がある。包帯を取り、クリーンを掛ける。顔を見せる拭いてあげたりしているとアモネスが水で洗った腕持ってきた。

 クリーンを唱え腕を切断面に当てながらヒールを強く唱えると、腕が接合され、顔の傷も無くなった。少し呻いていたがもう叫ぶ体力が無かったようだ。治療が終わるとクリーンを唱え、顔を見るときれいな肌が見えていて、かなり整った顔だとわかった。女性の顔の一生傷は酷いから、治って良かったと強く思う当夜だった。

か細い声で感謝され名前を聞かれたので、

当夜「冒険者の当夜と言います。もう命に別状は有りませんが、血を流し過ぎています。よく食べ休んで下さい。それと、貴女の可愛い綺麗なお顔の傷ももう無いから安心して休みなさい。心配ないからね」


 そんな風に接合をしたり治療を行っていた。


 治療をするとあちこちから平伏し崇め奉られてしまい、当夜は驚いていた。

 それと誰も気にしなかったが、100人位を治療しているがケロッとしているのは異常なのだ。大怪我を治すのは通常の治癒術士でも10人が限界になるという。


 全員の治療を終えると既に夕方になっていた。町から兵士1000人位と100人を超える冒険者がようやく辿り着き、死体の処理を手伝っていた。


 今回の魔物は1200匹を超えていて、概ね900匹を当夜達のパーティーが倒した事となった。

 一度魔物達のボスの死体を見る事となり、キング種の死体を検分していて、

当夜「ファンタジー物って主人公は大抵無限収納とか持ってるよな。俺も持っていないかな。収納って言ったら出来たりして。収納」


 とボスの死体を確認しながら【収納】と言うと収納しちゃいました。

 見ていたシャクラが腰を抜かしていたが、当夜自身が一番驚いていたのだ。

 これができる者は国宝級の扱いを受けるという。

 とりあえず上位個体を中心に収納をしていくとガンガン行けてしまう。

 既に治療で目立ってしまっているのと、これだけの魔物を倒した力は隠しようがないのと、どうせいずればれるだろうと思い、堂々と使用する事とした。

 時間停止ができるのか不明だったので、熱いお湯を入れたタライを収納して魔物を一通り収納して回り、1時間位してから出してみると収納した時の温度そのものだった。

 つまり時間停止があるのだ。ただ、容量が無限なのか有限なのかわからなかった。

 少なくともルナが倒した400匹前後は収納できた。門を出て単騎で打って出たので、他の者が倒した死体がないのでわかりやすいから収納していったのだ。当夜自体も400は倒しているのだが。陣取った家の外に400近く、家の中に50位死体があったから判明したのだ。

 オークの肉は食卓の人気な肉の為適量ならば売れるのだが、それなりに重いので馬車のない冒険者は自分が食べるくらいしか持って帰れない。今回は数が多過ぎてどうにもならない為に焼却処分するしかなく、当夜が肉屋に卸す為にどんどん収納しても問題ないのだ。


 オークの死体を集めて焼き払うというので、死体を回収して回ると感謝された。燃やさないと腐って大変な事になるし、燃やすにも薪などが必要でお金がかかるからだ。


 魔石は兵士や冒険者で抜き取りをしてくれていて、誰が倒したか良くわならない村の中の死体から取り出した分の魔石は三等分して村、当夜達のパーティー、町の兵士や冒険者の三つに分け与え、破棄予定の魔物の死体は当夜がすべて回収して回っていた。

 兵士達の分は事後処理や、魔石の解体の費用の代わりにする事になった。

 当夜が一旦収納した自分達が倒した分の死体からもシャクラ達の立会の元、魔石の抜き取りと討伐証明部位を切り分けていって貰ったのである。


 一通り魔物の処理が終わり、残りは住人の死体の埋葬になり、兵士達と共に当夜達は町に帰る事となった。一部の兵が残り、その他は町に帰る事となったのだった。

 理由は単純で宿泊する事が出来る場所が殆んどないので、確保できた人数だけが暫く村に残る事となった。

 また当夜達も馬車に乗せて貰える事となり、夜に町に着き宿に戻ったのだ。部屋を一度出てしまうと風呂付の部屋がなかなか取れない事が分かり、勿体無いがクエスト中も費用を払っていたから町に戻る事となったのだ。

 皆疲れており、風呂に入った後はひたすら眠たくて、順次休んでいったのだ。ギルドへは翌日報告に行く事にし、皆泥のように眠っていったのだ。

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