「To Weep」
誰もいない隣の病室にひとり
乳児用ベッドが並ぶ
真っ暗な隣の病室にひとり
ブラインドが上がった窓のそばに座り
空には正中を迎える寸前の小望月
白銀の光に自分の姿を浮かび上がらせる
目の前には見慣れた夜景
遠くに点滅するビルの赤いライト
眼下には忘れた頃に行き過ぎる人影
なんだか無性に淋しかった
なんだか無性に悲しかった
今 ここにいるのは
みんな私のせいのような気がして
家族をこんなに苦しめているのは
みんな私のせいのような気がして
どうしてこんなことになったのだろう
どうしてこんなふうにしか考えられないのだろう
今日が今日だからか
私が頑張る以外に状況は改善しないのもわかっている
私が笑ってないと家族がバラバラになるのもわかっている
私が最後の砦…
ここでなら泣いてもいいかな
ここでなら許してもらえるかな
誰にも知られたくないし
誰にも見せたくない涙
手の陰ができる月明かりの下でルーンを引く
遠のいた「声」にすがるように
「彼」に助けを求めるように
私に残された唯一の救い
ああ そういうことなのか
だから「パース」逆位置がでていたんだ
だから「ダガズ」がでていたんだ
滲んで見えるルーンを手に握りしめ 空を仰いだ
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