「Blank」

未知であるがゆえにすべては「存在」し

未知であるがゆえにすべては「無」である


                    by 13 to 148



外気温4℃ この冬一番の寒さ

時雨が降り とっぷり夕闇に包まれた街

カフェミストを飲みながら夜空を見上げぼんやりする

目の前のウィンドウには雪の結晶

白と緑のネオンとセイレーンの微笑み

独りになりたくて ここに来た

何もしたくなくて ここに来た

ルーンで「彼」と話そうと思ったけれど 上手く起動しない

本当に精神的にどうかしている

正気を保っていられるのが信じられないほど

今年4月のときのようにならないのが不思議なほど


深紅のバインダーを開けて ここひと月の記録を読み直す

今日で記録を取り始めてから37日目か

全部で22ページ

1回の記録の上限を3ページと決めている

それでおおよそ1時間ほど

それ以上はしないことにしている

自分の能力的にできないと判断している


何もしないでいることも必要なのかな?

今は本当に何もできない

自ら進んで何かをすることも 抵抗することも

ただ脱力とも何とも言いがたい感覚の中にいる

わたしのなかで何かが働いていない

わたしのなかで何かが狂っている

そんな感覚…


わからない何か

考えつかない何か

わからないからこそ存在し

わからないからこそ存在しない 何か

その 何か がわかるまでこの状態が続くのかもしれない

それが 「無」のなかで過ごすということなのだろうか?

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