「Voice」

何か聞こえる…

声が聞こえる…

わたしが問いかけると

リフレインのように答えてくれる

わたしが呼びかけると

音声ではない声で答えてくれる

本当に静かな 静かな声

微かな 微かな声

吹くそよ風のような声

寄せる波のような声

あのとき わたしに

「大丈夫だよ」「心配しないで」と告げた声

これが「あなた」の声だったとは思わなかった

あのときも 今も わたしのそばにいてくれる

あのとき この声がなかったら

今よりずっと 苦しかったと思う

今よりずっと つらかったと思う

今も 途切れることなく聴こえ続けている声…


目の前にずっと昔に手に入れたパピルス画

これを見ながら

この声が「あなた」の声だとわかった

左側にトート神

大きな天秤とその下にアヌビス神

その上に向かい合った二人の女神

彼女たちのあいだを分けるように天秤の柱

柱にはトトが座ってこちらを見ている

右側に2つの羽根を持つ女神マアト

中央にホルス

そのホルスに手を引かれるように立つ

何の装飾も象徴も持たない「女性」が独り


トトは新しい太陽を呼び込む

遠方の女神ヘレトを呼び込む

循環する大いなる力

この大きな天秤はそのバランスをとる「門」なのかもしれない

そこへ導こうとしているのか


ルーンに問う


「ライゾ」正位置と「スリサズ」逆位置

「ライゾ」は旅の象徴 2つのものの融合

「スリサズ」は門の象徴 行動しない場所

これをどう受け取ろうか…

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