第6話 不安
昨夜、麻沙美とさくらちゃんが帰ったのは確か、24時過ぎだったろうか。いつもより遅い時間に帰った。
あれから、さくらちゃんは機嫌を治してくれて、3人で仲良くテレビを観ながら会話をしたり、麻沙美は入らなかったけど、さくらちゃんはシャワーを浴びていった。俺はまるで家族のようだと思った。だが、俺もきっと麻沙美も恋愛感情どころか結婚するつもりもない、少なくとも俺は。
俺はそのあと疲れたので、病院から処方された睡眠薬を飲んだ。結構興奮していたので全く眠くはなかったが。
なので、俺は小説を書くことにした。さくらちゃんは涙が出るほど絶賛してくれた作品、『病と女』。
あらすじは、ある女が難病に侵されてその生涯を恋愛と絡めて書いている作品だ。これを公募に出そうとしている。
俺の病状は、現在は安定しているが、たまに嫌な幻聴が聞こえてくる。
よし! 明日は休みだから眠くなるまで書こう、そう思い書き出した。
書き出したら一時間はあっという間に経った。今は午前1時過ぎ。
パソコンの光のせいか、なかなか眠くならない。あんまり夜更かしすると、仕事の日にまで疲れが残ってしまう。なので、とりあえず布団に横になることにした。
だが、なかなか寝付けない。布団に入ってから約1時間が経過する。それと共に不安になってきた。原因はきっと病気のせいだろう。頓服を飲みに薬を薬局の袋から取り出し、台所に向かった。
今夜はどうしたのだろう……。いつもより不安感が強い。とりあえず、日付が変わったので今日は休みだから気ままに過ごそう。確かに疲れは日常的にあるからあまり無理をすると再発する可能性があるから怖い。
それから一時間後くらい経っても、薬が効いていないのか、不安は払拭されなかった。これはまずい……。やばい心理状態だ。
こんな時間に起きているかもしれないのは、男友達の
[勝、起きてるか? 俺、今不安でいっぱいなんだ。会えないか?]
と、いうもの。
返信は約30分後に来た。
[こんばんは。大丈夫? 今、妻に話したら行ってあげたらっていうから行くわ]
ありがたい話だ。俺はゆっくりと体を起こし、洗面所に行って鏡を見た。なんて顔色だ……。そう思うと情けなくなった。
まあ、仕方ない。部屋着に着替えて待つか。小説書いたのが失敗だったかなあ……。これも、話してみよう。俺は二人掛け用のソファに深く腰かけ、今の不安を感じながら休んでいた。
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