歌にはなれないけど
新吉
第1話 僕は詩
僕は詩。君は詩を知ってるかい。僕はいわゆる自由な奴だ、小難しく考えずに思ったことや感動したことなんかを書いている。中にはルールに縛られたつまんないやつもいるけど、意外とそういうやつはリズム刻むのが上手かったりするんだよ。僕はわからないとか難しいと言われるより、仲間うちでも空気が読めない奴、自由すぎるといわれる。
街中を歩いてるといろんな奴がいる、それでいいしそれがいい。今じゃ街中を歩かなくてもいろんな奴がいるのがわかる。すごい世の中だ。驚いたりショックだったり、悲しかったり楽しかったり嬉しかったり。いろんな奴がいろんなことを話して呟いている。それでいいと思うけど、そんな中には有名な奴や有名な奴に声をかけられた奴らがいる。
中でも僕が憧れるのは歌詞だ。僕は歌になりたい。詩は歌ってもらう何かと一緒だと歌詞になる。どんなに歌に人気がなくても、下手くそでも大きく違う。僕自身が変わることでもあるからだ。
楽器の音、誰かの声、それが隣にいる。そしたら僕も変わるような気がするってこと。もちろん僕の体が変化するわけじゃない。いやもしかしたら歌う都合上多少は付け足されたり、減らされたり、ナナメになったりするかもしれない。でもそれでも歌になりたい。街中に流れる音楽、その一員になりたい。
そんなことを願う一方で、そうならない方がいいのかもしれないとも思う。曲やメロディは素敵だけれど詩が悪いなんて言われたら、僕はきっと立ち直れない。音や声に顔向けできない。歌はだから憧れでしかないのだ。歌ってみたいけれど、僕には声がない。だからいつも書くだけだ。
そうそう僕の街では擬人化のキャラクターが多い。猫やネズミや建物なんかも。まあ流行っていると思ってたら時代遅れといわれた。やっぱり僕は世間にうといみたい。タピオカも僕が飲みに行った頃にはもう流行りをすぎてた。いいんだ流行りは回ってながれる。だからタピオカの擬人化の子は老けないんだって。可愛い。
僕はだんだん老いを感じてきた。書くことが少なくなってきて、この間なんて手のひらが透けていた。ペンが持てないのではないかと焦って机に向かったけど、大丈夫だった。ただの気のせいだったよ。僕はだんだんこうして消えていくんだと思う。それが死ぬってことだからしかたない。その反面終わりがあるから今こうして生きているんだと感じる。
僕は詩だ。歌にはなれない。もしかしたら詩とそのほかと差も曖昧なくらいの不確かな存在かもしれないけど。今ここに生きている。
君はいったいなんだい?
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