疲弊した体引き摺って

たどり着く先は狭い路地

乾きかけのビールケース椅子に

僕はギターを掻き鳴らす


カラスが飛んだ

黒猫が首をかしげた

知るもんか

僕は歌わなきゃ

歌わなきゃいけない


何が苦しいかも分からず

ただもがき続けた

何が悲しいかも分からず

ただ咽び泣いた


なあ神様

僕を裁いてはくれないか

喚け叫べ全部吐けよ

この世で一番綺麗な花も

いつかは枯れて死んでいくんだ

だけどいつか新しい芽がこの世で一番

綺麗な花を咲かせて

僕の心を少しだけ癒してくれるんだ


化膿した傷が引き攣って

晒した涙は溶けて行った

乾きかけのそいつらを放置して

僕はギターを掻き鳴らす


カラスが死んだ

黒猫が欠伸をした

知るもんか

僕は歌わなきゃ

歌わなきゃいけないんだ


陰険な人々の数

ただ傍観していた

何が正しいか分からず

闇雲に歩いた


なあ神様

いるなら僕を助けてよ

足掻け叫べ全部吐けよ

この世で一番無価値な僕も

いつかは朽ちて死んでいくんだ

だけどいつか僕の歌声を好きと

言ってくれる日が来るその時まで

僕は心を削って歌い続けるんだ



カラスが飛んだ

黒猫が口を開いた

ありがとう

僕は歌わなきゃ歌わなきゃならない


なあ神様

僕を裁いてはくれないか

こうやって何も出来ない僕を

この世で一番無価値な僕を

いつかはひっくり返る僕を

だけどいつか僕の歌声を好きと

言ってくれる日が来るその時まで

僕は心を削って歌い続けるから


だから神様

いるなら僕を助けてよ


頑張るから

いるなら僕を助けてよ

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