事情聴取

いありきうらか

音声

「今日も、よく眠れました。しかし、空は晴れていますね。まあ、窓がついていないので、わからないんですけど。


朝食もちゃんと出るとは思いませんでした。やっぱりネットの情報なんて鵜呑みにするべきじゃないな、って思います。


やっぱりドラマって完成度高いんだなあ、って思いました。本当に空は晴れていますね。


今日ですか?今日も夢は見ました。夢って、将来の夢じゃ、ありませんよ、寝ている間に見ている夢ですよ。


それにしても不思議な夢でした。まあ、今日寝てないんですけどね。


じゃあ、あれかな、僕の頭の中のイメージなのかな、しまった、の、は2つまでですよね、これバイト先で習ったんです。


電気って見たことあります?空から降ってくるじゃないですか、よく。


電気って青色とか、紫色だなんて言いますけど、僕は、赤色だと思うんです。


え?でも電気って地面から生えてきたりもしますよね?僕の中ではそういう結論になっているらしいです。


あ、そうか、あれは小説の話か、最近読んだ小説にそんなことが書いていたんですよ。天気は王様だって。


僕の家にはテレビも本も一つも置いていないんですけど、あ、お金がなくて全部売っちゃったんです。


しかし、あの日も晴れていたな、僕も言っていましたよ、今日は晴れてるね、って。


そのお金で何を買ったんだったかな、たぶんテレビを買ったんじゃないかな、そう僕も言ってたと思います。


でも、最近記憶が曖昧なことが多いんですよ。薬をちゃんと飲んでいないからかな。


薬は、ポケットにいつも入れてるんです。何があっても飲めるようにしておかないといけませんから。


普段はスウェットで行動しています。ポケットがついていないので、やっぱり雨が降りますよね。


天気って本当不思議ですよね。小説で読んだんですよ、天気は職人さんだって、あれ。さっきなんて言ってましたっけ?電気?


そんなことはいいですよね、いや、壁の奥から音がすごく聞こえて、壁に人が埋まっているんじゃないかな、って思ったんです。


これは、助けてあげないと、って。そしたら、彼らは目を真っ赤にして、もうそれは電気みたいでしたけど。


電気って赤色でしたよね?あ、天気と電気って似ていますね、大発見だなこれは。


だから、もう彼らは公園に呪われてしまったんだな、って思いました。


公園は、悪い奴ですよ。子供たちを引きずり込んで、楽しませる施設ですからね。


女の人が特に公園だったんですよ。僕のこと見るなり、叫んじゃって。そんなことしたら、隣の人に迷惑だろ、って怒りました。


んでもって、僕は公園を刺したんです、それはお隣さんの道具をお借りしました。


これくらいは、いいよね。って確認したんですよ。そしたら何言ってるんだふざけるな、って公園がおっしゃっていました。


可哀そうに、って言いました。だから僕も自分で電話しました。最初は119に電話しちゃったんですよ。


公園さんは、あ、みかんを食べてました。だから僕ももらいました。美味しかったですよ。


段ボールの中にいっぱい入っていました。公園が。あ、違う電気が。電気?天気か、あれ見つからない。


あ、違いますよ、ダジャレじゃないです。みかんがみっかんないなんて、全然面白くないですよね。


公園は運ばれて行きましたよ。でも、僕が成敗したので、ちゃんと人の形していましたね。でも、電気でいっぱいでした。


目には電気はなかったですよ。そりゃあ、僕が成敗しましたから。公園って電気に満ち溢れています。


警察の人が僕にお前がやったのか?って聞いてきたって聞いてます。彼らは至って冷静でした。


それが許せなかったんです。正義の味方が、公園をこんな野放しにしているなんて。だから信用できないんです、日本の警察は。


ドラマの警察の方が、よっぽど信用できる、そう思いませんか?刑事さんも。


それで、壁を壊して中を見てくれ、って頼んだんです。そこから音が聞こえるから、って。


そしたら何もなかったんです。だから、僕に、公園が音を耳元で呟いてきたんだと思います。


人の形に化けるなんて卑怯な奴らです。僕は毎日耳元で笑い声を囁かれてそれはもう地獄でした。


みかんをよく壁に投げつけていました。あ、隣の部屋にもみかんがありましたね。あいつら、僕の部屋から盗んでたんですね。


本当に許せない。公園の奴ら。彼らは本当に可哀そうですね。みかんがもう食べれないですからね。


こたつの上にあんなにみかんの皮が並んでたってことは、美味しく食べていたんでしょうね。僕が食べたものも一緒に置いておきました。


あと、僕の部屋の、壁に投げつけたあとのみかんも、持っていきました。


公園、じゃなかった、僕が成敗しましたからね、彼らにつぶれたみかんを食べさせてあげました。


でも、口が開いてなかったので、やめちゃいました。あの日も晴れていたかも。


後は、無能な警察が、僕のことを連れて行きました。あ、やっぱり曇っていたかもしれない。


僕の服には電気まみれだったんですよ。白い部屋。みたいなところに連れてかれて、着替えてからはよかったですよ。


そっか、電気のせいだったのかって、思いました。その日から、何も笑い声聞こえなかったので。


…終わりですか?今日も短かったです。長い間、僕の話を一方的に聞いてくれてありがとうございました。


警察の人もいい人なんだなあ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る