3人目(Drei) 最強の「暗殺者」

 その者は無名である。


「世の中に知られていない」という意味での無名でもあるのだが、文字通り「名無し」という意味でもある。

籍が無い?・・・と言うより、


存在しているかもわからないのだ。


「何言ってんの?」と思うかも知れない。だがあえてそうであるとしか私は言えない。


起こる事象だけ述べよう。


「誰かを殺したい」と伝える。

数日のうちに、その「誰か」は命を落としている。

言ってしまえばそれだけだ。


「いや、それは偶然じゃない?」と思うかも知れない。

確かに事故や病死、自殺が死因となっているものも無いとは言わない。

だが、「ナイフで刺された」「銃で撃たれた」と言った他殺と思われる死因も多くあり、しかし、犯人はすべからく特定できていないのだ。


かつて一枚だけ、この暗殺者からと思われるメッセージが残っていたという。


「私は存在しない。だから私を捕らえられるものもまた存在しない。」


いるのかいないのか、いわば「都市伝説のような存在」の暗殺者がいるのであれば、


それは「最強」と呼べるのではないだろうか?

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