―20(過去4 side)
橙月6日
ヴィクターの話ではレストラン前の公園に、現れるはずの魔王。
念のため3人はそれに備えて待ち構える。
住民には避難してもらった。念のために。
そしてその時刻が来る。
が何も起きない。
間違いだったのか?
やがて警戒態勢が続いたまま、10分が過ぎる。
と遠くで
(ドーン!)
と爆発が起こる。
それは街の教会の辺りだ。
「!?」
3人はそちらに向かう。
そこには犠牲になった街の人々。
「ひどい」
レナは目を瞑る。そして回復魔法を使う。
その時、上空から火の玉が襲う。
「危ない!」
テリオスがかばう。
その爆発でレナとテリオスは吹き飛ばされ、分断される。
ロディは壁に吹き飛ばされ、骨が折れる。
「く・・」
ロディは意識朦朧とする中。魔王の居るであろう方向を見る。
テリオスの前に出現する、魔王。
姿は正に、神室そのものだ。
「この時が来た」
魔王が重く深い声で発する。
そして、テリオスに腕を振り下ろす。
その1撃は、右肩に深く命中する。
「テリオス!」
レナは50メートルほどの公園に飛ばされていた。
テリオスが安全な距離まで、突き飛ばしたのか?
レナは駆け寄る。しかし足が言うことを聞かないようだ。
怪我をしているらしい。
しかし、そのままでは居れないレナは、
たまたま落ちていた、ロディの弓矢を持って。
そして、放つ。
が、撃ったこともない弓矢。
途中で落ちてしまう。
更に、魔王は、腕を横に薙ぎ払う。
(グサッ!)
とテリオスの肩を切り裂く。
「・・・・」
テリオスはもう意識がないのか戦意が感じられない。
「これで自由だ」
魔王は謎の言葉を発しながら、
テリオスの心臓めがけて
腕を槍のようにして狙う。
(ザクッ)
その時、レナの放った矢が、
魔王の腹に刺さった。
「いい腕だ」
魔王は連続して弓を撃つレナを一瞥するも、
直ぐにテリオスに向き直って
腕を振る。
そして
(ザクッ!)
腕はテリオスの胸を貫く。
「いやあ!」
泣き崩れながらも矢を撃ち続ける、レナ。
テリオスを貫いた魔王は、そのままの状態で動かなくなる。
そして、地面に投げる。力なく落下するテリオス。
そこは教会だ。
レナとロディは、怪我をして、這いずりながらもテリオスの元へ急ぐ。
生死は見るまでもない、瞬間明らかだった。
そこにはヴィクターが居た。
そしてテリオスの様子を見て
首を横に振る。
「テリオス!」
テリオスにの亡骸に抱き着いて泣くレナ。
そんな中、魔王はいずこかにワープする。
そして、雨が降ってくる。
「さぞかし無念でしょうねテリオス」
ヴィクターがぼつりと言う。
更に
「レナの弓矢がもう少し強力ならば」
と言う。
「な、何言うんだ!」
ロディは怒る。
雨は更に強さを増した。
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