【短編】俺の言うこと聞けないの?

咲倉なこ

第1話



高校3年生の私は、壱夜(いちや)と同じ大学に入りたくて、ただ今猛勉強中。


壱夜は頭がいいから、いつも壱夜の家で勉強を教えてもらっている。


壱夜とは幼なじみで、昔から一緒にいるけど、付き合うようになったのは最近のこと。


昔は壱夜と理央(りお)の3人でずっと一緒だった。


だから未だに2人でいることが少し恥ずかしくて、ちょっとだけ慣れない。



「このfireってどういう意味だっけ?」


「これはいくつか意味があって、この場合は前後の英文と組み合わせると、火をつけるって意味になるよ」


「へー、そうなんだ。さすが壱夜!」



私が勉強教えてって言っても、文句ひとつ言わずに付き合ってくれる壱夜。


本当に優しい。


教えてもらった単語をノートに書き写していると、なんか視線を感じる。


そう思って顔を上げると壱夜と目が合った。



「な、なに?」



そんなに見られると恥ずかしい。



「真剣に勉強してる好美もかわいい」


「ちょっとやめてよ…」



そんなこと言われたら勉強に集中できなくなるじゃん…。


壱夜はサラッとこーゆうこと言うから恥ずかしい。


なんて思っている間に、壱夜の手が私の頬に触れて。


より一層心臓が高鳴った時、スマホが鳴った。



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