反省して更生しようと
花火を楽しみ、星空を堪能し、私達は部屋に戻ってお風呂にしました。
やはりヒロ坊くんとは一緒に入れなかったのは残念でしたが、それはまたいつか機会があればということで。
それに私にとってもとても楽しい一時でした。
お風呂から上がった後、リビングに戻った時に玲那さんが言いました。
「カナもピカに救われたけど、私もピカのおかげで、今、こうしてられるっていうのがあるんだ。
普通ならもっとこう、マスコミとかの取材攻勢を受けたりとか、家に嫌がらせが押しかけたりとかってあると思うのに、ピカが雇ってくれた弁護士さんがすごく頑張ってくれて、そういうのもあまりなくて済んでるしさ。
もしそうじゃなかったら、絵里奈と一緒に暮らすことさえできなかったと思う。
世間ってホントにおかしいよな。罪を犯した人間がそれを反省して更生しようと思っても、その邪魔をして足を引っ張るんだよ? それでヤケを起こしたらまた、
『反省してない!』『更生してない!』
って責めるんだ。自分達がその邪魔をしてるのにさ……
まあ、実際に反省も更生もしてないのもいるんだろうけど、しててもしてなくてもお構いなしに攻撃するんだ。それのどこが<正義>だって言うんだよ?
ホントは、ピカがやってくれてるようなことがなくても更生の足が引っ張られたりしないようになったらいいと思うんだけどなあ……」
玲那さんのその言葉は、私にとってもとても実感のあるものでした。
彼女の場合には、彼女自身のその誠実な人柄もあってか比較的上手くいっているのですが、カナのお兄さんの場合は、あまりに犯情が悪い為か家族に対する嫌がらせも苛烈で、残念ながら防ぎきれていないというのも実情です。
そういう点から言うと、玲那さんの実感よりは世間も分別を付けてくれているのかもしれないとも感じるのですが。
実際、弁護士の報告でも、カナのお兄さんの件に絡むそれよりも、玲那さんの件に絡むそれの方が明らかに状況はマシなのだそうです。
ただ、玲那さんも感じてらっしゃるように、まったくないわけでないことも事実ですが……
本当に残念です。
カナも言います。
「うちのバカ兄貴の場合は仕方ないかなって気もするけど、玲那さんは本当にそうするしかないくらいに追い詰められてたって私も思うんだよね。だから、玲那さんを叩くってのは許せない」
と、拳を握り締めて。
カナは、自分のこと以上に玲那さんのことを案じています。彼女はそういう人なのです。
ですから、玲那さんはもとより、カナが苦しむのもおかしいと、私は思うのです。
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