性処理の道具

私は、<男尊女卑>および<女尊男卑>という言葉が嫌いです。


そのような言葉を使うこと自体が、現実から目を背ける行為としか思えないからです。


元より、<男尊女卑>という言葉そのものが、実情をまったく理解してない方が作った言葉だとしか思えないのです。


明治以前の日本社会は典型的な<男尊女卑社会>だと思われていたようですが、実際には必ずしもそうでなかったということは、様々な証拠からも明らかなのでしょう。


単に、西洋的な価値観からはそう見えただけに過ぎないのではないでしょうか。


また、現代の女性は男性を敬っていないとも聞きますが、実際には女性はずっと昔からしたたかだったのではないですか?


男性にかしずいているように見えていたのも、あくまでそれが有効な<男性の操縦法>だったからではないのですか?


かつては、特に<戦国時代>と呼ばれる頃には、男性はそれこそいつ死んでもおかしくない境遇にいた筈です。文字通り命を懸けて働きにも出たのでしょう。現代の、少なくとも命については保障されている社会とはまるで違っていた筈です。


そんな、いつ命を落とすかもしれないようなところに勤めに行ってもらうのですから、さすがに敬いもするでしょう。命を懸けて自分達の暮らしを守る為に働いてくれるわけですし。


それに比べれば現代は、そこまで命懸けではなくなってるがゆえに、『敬わずにいられない』程じゃないのも当然ではないでしょうか?


奥さんに敬ってほしいのでしたら、それこそ、


『今日は生きて帰れないかもしれない』


『明日こそ死ぬかもしれない』


そんな状況で働いてみたらいかがですか?


そうすればさすがに敬ってもらえるかもしれません。


そこまでしても敬ってもらえなかったら?


これはもう、自由に相手を選べる(たとえそれが建前でしかなかったとしても)今の世の中でわざわざ<そういう女性>を選んだご本人の落ち度でしょう。


かように、私は決して、


『女性だけが一方的に虐げられている』


などという偏った考え方をしたい訳ではありません。


ですが、<性犯罪の被害>が少なくないこともまた、事実の筈なのです。


そのどちらの<現実>も客観的に見られなくては、適切な対応はできないと私は思います。


そもそも、


『性犯罪の被害を受けているのは女性ばかりとは限らない』


こともまた事実でしょうし。


これらはひとえに、


『性衝動を制御しきれていない』


が故の問題だと思うのです。


翻って、ヒロ坊くんのように『強い性衝動が発露していない』状態は、決してネガティブな話だとは思いません。


彼は私のことを慕ってくださっています。


それはまだ『異性として意識している』というものでないのも事実ですが、私は彼と一緒に生きていきたいのであって、彼を私の<性処理の道具>にしたい訳ではないのです。


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