僕の姉はブラコン？

ゆうちゃん

　春、それは出会いと別れの季節である。この4月から高校生になった僕、荒井良弥は桜舞い散る高校の校舎の裏庭で1人ある女子生徒を待っていた。

「待たせたわね…」

僕が待っていた女子生徒が来てくれた。女子生徒の容姿は、顔は芸能人並に整っており、髪は艶やかな長い黒い髪色で，肌が色白く綺麗でおまけにスタイル抜群だ。彼女が来ただけで周りのオーラが明るくなる。それくらい彼女の容姿は完璧だった。僕は彼女に勇気を出して手紙で放課後、話があるので校舎裏に来てくださいと言う手紙を彼女の靴箱に置いたのだ。

「それで話って何かしら？」

彼女が僕に向けて言う。昨日、僕が彼女に今日言おうと思っていた言葉を僕は口に出そうとする。僕は覚悟を決める。

「あなたの事が好きです！！　僕と付き合って下さい！！」

「ごめんなさい　私はあなたの事を弟としか見れません」

即答だった。僕は僕の姉、荒井愛梨に振られた。姉は出来損ないの僕とは違って昔から何でもできた。勉強ではテストでは常に学年トップ、運動も他の人よりも、ずば抜けて出来て、料理もプロの料理人並みに作る事が出来る。高校3年生になった姉は生徒会長も務めている。僕の姉には苦手なものが何も無かった。性格はクールで優しい。しかも美人。そんな姉を世の男子達が放っておくわけも無く、姉は学年問わず男子達に告白されまくっていた。でも姉はそんな男子の告白を全て断っていた。理由はわからない。女子にも姉は人気があった。そんな姉に僕は今日、高校1年生では初めての告白をして、失敗に終わった。姉のどこが良いかって？決まってるじゃないか、全部だ。僕は重度のシスコンである。

「話はそれだけ？　それじゃ，私は家に帰るから　あなたも早く帰ってくるのよ」

姉はそれだけを言うとそそくさと帰って行った。僕は虚しい気持ちになりながら，姉の後ろ姿を見送った。

「はぁー　何で私もあそこで振るかなー」

　私、荒井愛梨は自宅に帰ると自分の部屋に入りベットに横になると、愛しい弟がせっかく告白してくれたのに私は振ってしまったという事実に胸を痛ませていた。私は弟の良ちゃんが好きだ。弟としてでは無く、1人の男性として良ちゃんが大好きだ。他の男どもはどうでもいい。良ちゃんがいてくれるならそれだけで十分だ。良ちゃんは今日、私に告白してくれた。だけど私は良ちゃんを振った。私が良ちゃんを振ったのは、理由がある。それは，良ちゃんを幻滅させないためだ。家でも学校でもクールな性格の持ち主として通している私が、本当は良ちゃんが大好きで、ずっと良ちゃんとイチャイチャラブラブしたいだなんて良ちゃんが聞いたらどう思うだろう？　きっと幻滅されるに決まっている。良ちゃんに幻滅されたらショック死しそうだ。だから私は、クールな私で通す為に本当の自分の気持ちを何とか抑えて良ちゃんを振った。良ちゃんには，良ちゃんが小学1年生の時から毎年告白されているが、告白される度に私は良ちゃんを抱きしめたい衝動に駆られながらも良ちゃんを振っている。でも、私が毎年告白されるのもクールな私で通しているから、良ちゃんに告白されるのだろう。だから、私はこれからも大好きな良ちゃんに幻滅されないように、クールな私で通して行こうと思う。