霧崎奈波の不定期ラジオ

長月瓦礫

霧崎奈波の不定期ラジオ ~じこはおこるさ! だってクリスマスだもの! 前編~



よう、メリークリスマス♪ 霧崎奈波です!

恒例の不定期ラジオだ。


画面の前にいる独り身フリーな寂しい奴ら!

カップルなんて気にするな! 俺はいつだってぼっちだ! 

なんてったって、パソコンの前でボソボソ喋ってっからな! 

みんな仲間だ! 今日は盛り上がろうぜ!


あ、ちなみに、今日はシャンメリー飲んでマス。

クリスマスなんでね、それっぽいやつ買ってみました。


シャンパンじゃねえのかって? 酔っ払いなんかみても仕方ないだろ?

てか、すでに呑んでる奴もいるみたいだしな。

ビールにワインにシャンパンシードル……ま、ほどほどにしろよ?

ぶっ倒れても知らねえからな?


おお、初見さんもこんにちは。

今日はのんびりしてってなー。


お仕事ある人は本当にお疲れ様です!

アンタらのようなすごい人たちがいるから、世の中が回ってるんだ!

アーカイブ残しとくから、それ楽しみにして頑張ってください!




そうだ、酒で思い出したんだが。

俺の友達が花見の席でぶっ倒れた話ってしたっけ?


してないみたいだな、オッケー。

そうそう、例のアイツだよ。

多分、今日も元気に残業してるんじゃねえかな。


しかも、今が繁忙期みたいで、なかなか帰れないらしい。

だから、応援してやってくれ。


いやな、俺そんときいなかったんだよ。

サクライブ2019って、4月にやった合同イベントの休憩中の話。

ああ、来てくれたやつはありがとな♪


多分、現場にいた奴らは分かると思うんだけどさ。

マジでビビったよなー、アレ。

イベント止まっちゃうかと思ったもん。


一応、分からない奴のために説明しておくとだな。


俺の出番が終わって一息ついてた頃だったかな?

観客席の真横の広場で、なんか人だかりができてんのね。


しかも見るからにヤバそうな空気漂ってんだよ。

おいおい、何事だよってさ。喧嘩でもあったのかと思ってさ。

実はすげえヒヤヒヤしてたんだよ。


ほら、万が一、イベントが止まったりでもしたら、大変なことになるだろ?

そんで、マジで何なんだろって思ってたらさ、救急隊が来てさ。

人だかりの中に割って入ってくのが見えたのね。


周りの話を聞いてる限りだと、誰かが酒飲みすぎてぶっ倒れたらしくてさ。

ああ、浮かれすぎて調子ぶっこいちゃったんだなーって。

原因が分かって俺はちょっと安心したわけさ。


で、救急隊がタンカを担いで、その倒れた人を乗せてんのがちらって見えたのね。

何にびっくりしたって、そいつが俺の友達によく似ててさ。

二度見しようにも、もうその場にいないわけだしさ。


俺も気にしないことにしたんだ。ちょっと気が緩んでたんだろうなってさ。

いやあ、心臓に悪かったね。あれは。


まあ、イベントも無事終わってさ。

家に帰ってるときにな、お袋から連絡があったんだよ。


「お前の友達が酒飲んでぶっ倒れたたらしいぞ」ってさ。


どうも、そいつも会社の連中と会場近くで花見してたらしくてさ。

そしたら、なんか新人同士の一気飲み大会が始まって、しこたま飲まされたんだと。


で、急性アルコール中毒になって、ぶっ倒れたんだってさ。

同僚に救急車呼ばれて、そのまま病院送りだ。


今思えば、マジでアイツだったのかもしれないな。

だとしたら、俺は今この場で土下座をしなくちゃならない。


俺の友人がご迷惑をおかけました。

ほんと、馬鹿な奴ですみませんでした。


お前が謝ってどうするって?

いや、まあ、そうなんだけどさ。


けど、それ以来、奴は一滴もアルコールを飲んでいない。

あれを機に断酒を固く誓ったらしいぜ。

そこまでしなくてもいいと思うんだけどな、悪いのは飲ませた方なんだし。


あー、やっぱあるんだな、そういうの。

嫌な慣習だよなー。マジ滅んでほしいわ。


いや、見に来てたわけじゃないと思うよ。

そういうことするような奴じゃないし。

たまたまなんじゃねえの? 知らんけど。




うん? 誰だ、こんな時間に。

俺は何も頼んでねえけど……お前らも何もしてないのか?


いや、親なわけねえだろ。こんな時間に来る奴があるか。


まあ、出てみるわ。すぐに戻るから

なんだってんだよー、もう……。




「え、ちょっ……何しに来たんだよ!

今生放送中だから! 頼むから帰ってくれ!」 


「霧崎ボケェ! お前、そのことは話すなって言っただろうがよ!

俺の黒歴史が全世界のみなさんに大公開されちゃっただろうが! 

マジでどうしてくれんだよ!」


「てか、タバコくさ! アンタ、クリスマスだからって……!」


「そのセリフまんま返すわ!

お前こそクリスマスだからって人のことぺらぺら喋りやがって!」


「あのさあ、アンタの声も全部入ってるんだよ!

生放送中なの! 喧嘩してる場合じゃねえんだよ!

あーもう、何もかもめちゃくちゃだ……」


「はあ? 何言ってんだよ」


「いいから、これ読んでみ?」


「まさかのご本人登場、本人登場で草生える、お仕事お疲れ様です……は?」


「いや、だからな? 今のやり取り全部聞こえてるんだよ」


「……マージーでー?」


「マージ―でーすー。リアルタイムでぜーんぶ流れてまーす。

いや、彼氏とかじゃねえから。

何ですぐにそういうこと言い出すかな……」


「霧崎君」


「はい」


「一発殴っていいかな?」


「待て待て待て、放送終わってからな?」


「てか、続けようとすんじゃねえよ。

すでに事故ってんだから放送止めろよ」


「いや、お前が来なかったら平和に進んでたんだよ!

責任取ってもらうためにも、今日はとことん付き合ってもらうからな!」


「勝手に人を巻き込むんじゃねえ!」


「アンタも独り身フリーな暇人だろうが! 

一人増えたところで今更問題ねえよ!」


「いいわけあるか! しかも例のアイツ召喚成功って、どういうことだ!

マジで俺を何だと思ってんだよ、お前!」


「そうだ、そんな感じでコメント欄にツッコミ入れてくれ!

正直、そろそろ俺一人じゃ捌ききれないところだったんだ」


「勝手にコメント読み上げ機にするな!」



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