第3話 それぞれの想い
<美香視点>
親友が婚約した。大学時代に仲が良かった西村梨花ちゃん。
可愛い子で男性にはよくモテてたけど意外と身持ちが固く(ついでに毒舌で)、これまで彼氏はいなかった。だから、私も今回の話を聞いたときは本当に驚いた。
婚約者さんとは仕事で知り合ったとの事。
最初は意見が合わずお互い喧嘩が多かったらしいけど、年上な彼氏が歩み寄ってくれて、いつの間に一緒にいる時間も増え・・・
"最近プロポーズされたの"とか言って惚気られた・・・
はぁ~お1人様仲間かと思ってたのになぁ~
教師になって4年目。仕事に不満もないし生徒との触れ合いも楽しい。
ただ、男性との接点は生徒と同僚のおっさん教師のみ・・・
そんなこともあり、婚約の話を聞いたあの日は半ばやけ酒気味に行きつけの居酒屋でお酒を飲んだ。
正直、お酒はそんなに強くはないんだけど居酒屋の雰囲気は好きだった。
学校の仕事帰りに駅近くのお店に立ち寄り、顔なじみの店長さんに愚痴を聞いてもらいながら楽しんでいた。
その途中店長さんに常連さんという男性を紹介された。
店長が紹介するだけあって、話し上手で誠実そうな人だった。
都内のIT企業で働いてるって言って少しまじめな話もしてたみたいだけど、紹介された頃の私はTHE酔っ払いというか、かなり酔いが回り駄目な女になってた。
そうなの。ここまでは何とか覚えてる。
でその後、気がついたら男性の部屋のベッドに裸で寝ていた・・・
もちろん起きたのは翌朝。
・・・・全く覚えてない。
目が覚めた直後は、混乱して取り乱してしまったけど、彼は大人な対応をしてくれた。覚えてないけど自分の部屋に連れ込んだことに対して謝罪もしてくれた。
凄く誠実な人に思えた。
ただ、男性も酔って記憶がないという話を信じると色々謎は残る。
男性のマンションまでどうやって来たのか?
どうやらエッチなことはされてないみたいだけど、なんで私は裸だったのか?
正直謎だ。
ただ、とりあえず少しお酒は控えようと心に誓った。
そして、私と一夜を共にした相良さんという男性。
自分の事を39歳の冴えないおっさんと言っていたが、少々ファザコン気味の私にはカッコいいおじさまに見えた。
私の連絡先や名前さえも聞かずに帰ろうとするおじさまに思わず、『今度、また一緒に飲みに行きましょう』と連絡先の交換とかしちゃったけど変に思われたかな・・・
でも、飲みに私から誘うのもなぁ~
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「ふぅ・・・」
「どうしたんですか?課長溜息なんかついて」
「ん?いや何でもな・・・くもないか」
ちょっと聞いてみるか。
「仕事の話じゃないけど、ちょっと質問良いかな」
「へ?課長が私にですか?まぁ変なセクハラ質問じゃなければ」
「この会社セクハラとか厳しいし俺はヘタレだから大丈夫だよ♪」
「自分でヘタレって。。。」
そう俺はヘタレです。最近は本当に女性に免疫がないのです。
「実は、この間飲み屋で西村さんくらいの年齢の女性と知り合ったんだけど、別れ際に『また飲みに行きましょ』って名前と連絡先貰ったんだよ。これってどう思う?」
「どうって、普通に誘えばいいんじゃないですか?」
「綺麗で若い女の子が、俺みたいなおっさんに連絡先渡すとか怪しくないか?」
「はぁ・・・・課長って被害妄想酷くないですか?」
何だかわからんが、溜息をつかれた。
「変に勘違いしないで欲しいですけど、課長って休みの日とかジムで体鍛えてるって言ってましたよね。
それに身長も高いですし歳の割に体は引き締まってるように見えます。人当たりも良いし、顔もそこそこ良いと思います。この会社で課長なら給与もそこそこかとは思いますし、結構モテると思いますよ。」
「西村ちゃんさぁ。。。俺を褒めても給料上がんないよ」
正直褒められ慣れてないこともあり顔は赤かったと思う・・・
「わ、私まで恥ずかしくなるじゃないですか!照れないで下さい!
とにかく、好意があるなら普通に電話して良いと思いますよ」
「あ、あぁありがとな。今度電話してみるよ」
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