おっさんと先生

ひろきち

第1話 あなたは誰ですか?

昨日は飲み過ぎた。

こんなに飲んだのは久しぶりな気がする。

二日酔いで頭が痛い。


俺の名は相良 洋。中小のIT企業ライズに勤める39歳のサラリーマンだ。

まぁ俗に言うSEって言う何でも屋だ。

一応課長なんて肩書は持ってるが、うちの会社レベルだと管理職手当がつくだけで残業代もつかないので給与は少ない。

色々と責任ばかり負わなくてはならない損な役回りだ。

昨日も部下の面談で、色々愚痴を聞かされ気分が滅入ってたんで飲みに行ったんだよな確か。

そう。確か地元の川野辺駅前の呑兵衛横丁って行きつけの居酒屋に入って・・・そこから記憶が・・・


ところで話はかわるが、俺には彼女が居ない。

年齢的にそれなりの恋愛や結婚を本気で考えて付き合った女性なんかも居たけど、何となく踏み切れず今に至っている。

特にここ数年は独り身で居ることが気楽で楽しくも思えてきてしまった。

という事で今現在特定の女性とは付き合っていない。はず・・・・


うん、酔いも醒めてきたし冷静になろう。


『誰だ横で寝てる女・・・』


目が覚めて起き上がると横には肌も露わな女性が気持ちよさそうに寝ていた。

当然というか見たことも無い女性だ。


『とりあえず、起こした方が良いな・・・』


「あの〜」

「う~ん。もう飲めないですよ~」


な なんてテンプレ的な寝言!!


「すみません。ここは飲み屋じゃないので起きて下さい」


と肩をゆすると女性が眠たそうに眼を開いた。そして俺と目が合う。


「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・あ あの~どちら様でしょうか?」


それは俺が聞きたいんだが・・・・・

と女性は何かに気が付いたように布団を少し持ち上げ自身の体を見た。

そして、顔を真っ赤にして慌てだした


「えっ うそ、なに? なんで私裸? それにここは? あなたは?」


もうパニック。


「俺はこの家の家主で相良 洋って言います。

 え~と名前言いたくなければ構わないですが、昨日川野辺の呑兵衛横丁って居酒屋で飲んでました?

 俺、飲んでたところまでは覚えてるんですけどその後、どうやって帰宅したかとは覚えてないんですよ。気がついたらあなたが隣で寝てたわけで・・・」


と自己紹介と状況を報告。


「はじめてだったのに・・・」

「え?」

「私、処女だったのに なんで? どうして? こんなの酷い!」


女性は号泣し始めた。

・・・俺が悪いのかコレ?いや俺が悪いんだろうなやっぱり。


「覚えてないとはいえ、女性を家に連れ込んだのは俺の落ち度だ申し訳ない。警察に突き出すなら突き出されても文句は言わない」


と土下座して謝罪を求めた。


「う う うぅ・・・・取り乱してすみません。顔を上げて下さい。私も泥酔しちゃって何も覚えてないんです。ただ。呑兵衛横丁に行ったのは覚えてます」


と俺の土下座を見て少し冷静になったのか、ベッドから体を起こし俺に話しかけてくれた。泣き止んだものの少しまだぐずってる。

しかし、あらためて見た女性は童顔でかわいらしいタイプだ。俺は決してロリコンではないが普通に可愛いと思えるレベルだ。

ってこの見た目・・・凄く若くないか?


「あの。。。失礼ですが高校生とかではないですよね」

「お化粧してないとよく言われますが一応26歳です。それにお酒も飲みに行ってたわけですし・・・」

「そ そうですよね。失礼しました。

・・・後、そのそろそろ服を着て頂けると・・・目のやり場に困ります」

「ふぇ?」


とあらためて自分をみた。


「きゃぁ!!」


と女性は顔を真っ赤にして、タオルケットに包まった。

全裸だという事忘れてるとかもしかして、まだ少し酔ってるのかな?

と思いつつ脱ぎ散らかされていた服や下着を集めた。


「ふ 服はこれで全部ですか?」

「は はい多分・・」

とタオルケットに包まったまま伏し目がちにこちらを見る。

新品ならともかく、自分が脱いだ下着とか見ず知らずの男性に見られるのは嫌だろうけど仕方ない。


「シャワーとか使うなら使ってください。同じ部屋に居るのは嫌でしたら俺は少し外に出てますので」

「あ、シャワーはお借りしますが、外には出なくても。ここは相良さんの家ですし」

「じゃぁ奥の部屋に居ますので出たら声掛けて下さい。必要でしたら湯船にお湯はって頂いても結構です。タオルは脱衣所のタンスに入ってますので適当に使ってください」


と隣の部屋に逃げ込んだ。。。

女性から『ありがとうございます』という声が聞こえた気がする。

職場は男性がほとんどだし、女性と話しするのも久々だ。

特にあんな若くてかわいい子・・・

お風呂出たらどうすればいいんだ?駅まで送ればいいのか?

しっかりしろ俺。年相応の余裕見せてみろ。

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