祈り ⅴ

あなたが運ばれてきたのは


手がかじかむ冬の夕べ


魔物に酷い傷を負わされて


生死を彷徨っていた


冷たい身体の内に確かな熱を感じ


わたしは神に祈った


どれほどの人を守ったのか


武力を持たないわたしにはわからない


その時はただあなたが助かることだけを祈っていた


癒しの願いが叶った暁に


まだ自由がきかない身体で


微かに動く唇が感謝の言葉が零れた


その一滴だけで満たされた

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