偽肢
機械の腕に介護されるのはまっぴらだ、と発言をして各方面、団体から叩かれた政治家がいる。その言葉に同調する人がいなかったわけではないが、結局、介護の現場ではサイバネティクス技術で補われた人間やロボットがその役割を担っている。僕もそれの一つだ。日常で触る人間の身体の繊細さを思えば、僕はロボットに近しいのかもしれない。僕の四肢は全て機械化されている。老人の枯れ木のような身体と比べて、僕の見た目は普通の大人だ。介護される側からはそれでも機械だと分かるようで、同情の目を向けられることもある。僕はいつもにこやかな顔で応対している。この顔は生身のものだ。あなた達と一緒だ。同情の瞳、それも一緒だ。いつまでも生身に囚われているあなた達に。
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