第67話
「……」
…なにをいってるんだ? …こいつは?
「あとさ…。スネークイーターは長時間解除状態にしないほうがいいよ…。特に今回みたいな相手の時はね…。スネークロードスネークスは君が思ってる以上に厄介なスキルなんだ」
「…なんで、そんな事知ってるんだ?」
僕が疑問をぶつけると、その質問には答えずにそいつは妙な事を言い出した。
「まあまあ、そこはいいんだよ。でね、スネークロードスネークスをあまり使えない君にプレゼントがあるんだ」
「…プレゼント?」
「ああ…。でも、MPはガンガン使うから気をつけてね。あと、五分ってとこだから…」
「…五分? …なんの話なんだ?」
「さて、大体説明も終わったし、そろそろ休憩は終わり! 目覚めの時だ…。第一ラウンドは俺が終わらせたからさ。次は第ニラウンドの始まりだ」
隣でゲーム機のコントローラーを置いたような音が聞こえたかと思うと眩い光が足元から広がり全身を駆け巡った。
「…っ!」
数秒後に眩い光が消え気がつくと、何故か僕はさっきまでいた森の上空にいた。
「…ここは?」
…一体どういう状況なんだ?
僕は下を見ると黒いキノコは切り裂かれて、ボロボロになって倒れていた。僕は状況がよく掴めずにいた。
「…なにが起きたんだ?」
黒いキノコは倒れてるし…僕は空中に浮かんでる…。体もいつの間にか治ってる…。
「…ん? なんだ…。…これ?」
僕は自動的に開かれたステータス画面を見た。
〈瀕死状態となった為【???】が変異 スキル【フレースヴェルグ】を自動発動しました〉
「なっ、なんだ、これ!? フッ、フレースヴェルグ?」
僕は詳細を見る為に、説明画面を開いた。そこには説明という割にはあまりにも短い言葉が書かれていた。
〈風の翼が全てを掴み 全てを切り裂く〉
「なんなんだこのスキルは? …ん? 様子がおかしいぞ!?」
下を見ると黒いキノコが突然震えだし風船のように膨らみ始めた。キノコの体が限界を超え弾け飛ぶと、体の中から叫び声を上げ四体の黒い魔物がでてきて散らばった。
「…なっ!?」
襲ってくるのか!? いやっ、おかしい…。どんどん距離が離れてく…。…まさか、この僕から逃げようとしてるのか?
「…なんでだ?」
…まあ、そんな事はどうでもいい。あいつらを早く捕まえて倒さないと!
そんな事を思っていると、ステータス画面から急に音声が流れた。
「捕縛魔法を自動発動します」
「なっ、なんだ!? 体が勝手に動くぞ!?」
僕はさらに上空に飛びだし、気付けば辺りの景色が全て見えるような、とんでもない高さまで上昇していた。そして、僕を中心に緑色の光が広がっていき数百メートル程の球体になった。
訳の分からないまま今度は片手から緑色の光が分散し、さっきの四体の魔物を捕縛し目の前に連れてきてくれた。
「まあ、色々疑問はあるけど…。さっさと倒すか!」
僕は神様からもらった剣を抜こうとしたが、肝心の剣がどこにも見あたらなかった。
「…しっ、しまった!」
…剣がない! そうか…。倒れたところに置いてきたのか…。まずいぞ…。
そんな事を思っていると、また音声が流れ始めた。
「攻撃魔法を自動発動します。モデル〈ソード〉…」
「…ソード?」
「ただし、一度発動すると以後変更はできませんが宜しいですか?」
なるほど…。どうやら、武器をくれるみたいだ。
「オッケーだ! 早く、武器をくれ!」
もし、あの夢みたいな出来事が本当だとしたら、もうあまり時間がない。
「了解しました。発動します」
ステータス画面から音声が聞こえると、僕の両手に風が集まっていき風の両手剣となった。
「…って、これが剣なのか!?」
出来上がった剣は見かけ上は確かに剣の形をしているが実体がなかった。本当に風の両手剣だ。
「……」
でも…それはまるで、僕の体の一部のように初めから存在しているような不思議な感覚を覚えさせる剣だった。
「まあ、悩んでも仕方ないか…。さてと…いくぞ!」
僕は拘束されている目の前の魔物の一体に一気に近づき叩き斬った。
「はぁっ!」
ダメージを与えた後、僕は目を凝らして相手のステータスを確認した。
ダメージ十万か…。残りHP二百四十万…。この両手剣なかなかの攻撃力だ…。それに移動スピードも各段に上がってる…。よく見えないけど背中から羽のような風が吹きでてるお陰かな…。…よし! これなら倒せる! このままこいつを倒そう!
「おらぁああああ!」
僕はそのまま目の前の敵を容赦なく斬り続けた。そして、黒い魔物はHPが尽きると断末魔をあげて消え去った。
「よし、まずは一体…」
でも、おかしいぞ…。剣速が速すぎて数え切れなかったけど、今のは百回以上は斬ったはずだ。ダメージの通りが最初と比べて悪すぎる。この黒い魔物に弱い箇所とかあるのか?
「……」
まあ、今考えても無駄か…。実践の中で攻略の糸口を探すしかない!僕のMPは残り三万…。恐らくこの減り方…。一分一万程度消費している。早く倒さなければ!
「あと、三体…。…あれ? どこに行った?」
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