10【リリス】どうする、私?

「くっそー。最強のメイド騎士にしろ、って言ったのに、あのポンコツドラゴンめ……」


 濡れた草や木の根に足を取られて転倒すること、これで三回目。

 ノートの精に毒づいたのはその倍以上だ。

 今の私の背丈は二十センチ足らず。

 どこにでも生えている雑草ですら、行く手をはばむ厄介な障害物となる。


――これじゃ最強に遠いどころか、下手したら最弱じゃん!


 ようやく、マップに記載されていたエリアにたどり着く。

 ……けれど、紬くんたちの姿は見えない。

 私の体もまだ透明のままだ。


――もしかして、川原の方でA班と合流しているとか?


 このままB班のエリアを探索し続けるか、もしくはA班の川原エリアに向かうか。

 この身体のサイズでは、短時間で二つをこなすことは到底無理だ。

 聴覚には自信がある。

 けれど、今は雨が周囲の音を吸い込んでいく。


――どうする、私?

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