第12話 作戦会議

ーーーー後日。

なんと石原先生が戻って来たのだ。


「な、何で……。」

俺達は声を上げて愕然とした。

あれだけの証拠があって、何で……。


朝礼で校長先生から、女子生徒を襲おうとしていたのは演技である。 証拠も不充分として釈放となったのだ。


問題となるビデオカメラはというと、SDカードが入っておらず、録画がされていなかったとの事。 また、拘束用に使われたスタンガンは見つかっていない。


「完全に先手を打たれたというわけか……。」

俺達の発言は全て狂言扱いされたとも言える。


この出来事により、俺達は完全にアウェー状態となり、この先、二の足を踏む事になるのだった。


ーーー放課後。


俺達は視聴覚室に来ていた。

この場所は立ち入る者が殆んどおらず、防音室となっている為、俺達が話をするには絶好の場所だった。

「黒幕がいるな。」

田原の間抜けな言葉に

「刈谷でしょ。」

天ヶ瀬。

「刈谷でしょ。」

俺。

「刈谷でしょ。」

???

「誰、お前。」

全員、謎の声の主をみる。 メガネをかけたヒョロヒョロ君だ。

どこかで見たような……………。


「俺だよ、東栄!東栄英二!」

あー、ちょろっといたな、そんな奴。


「昼食時、コソコソ逃げていった小ネズミ野郎ね。」

天ヶ瀬がさげすむ。


「あぁ!もっと、汚い物を見る目で!」

東栄が悶絶する。

「何でテメェがいるんだ!?ぁあ?!」

田原がめがね君を締め上げる。


いいぞ、もっとやれ。


「田原君、下ろしてあげて。彼、何か知ってるんじゃないかしら。」

天ヶ瀬が珍しく止めに入る。

「何かってなんだよ。」


「それを今から聞こうとしてるんじゃない!貴方の脳みそは上腕二頭筋に入ってんの? いい加減、そのくだらない思考能力は改善したほうがいいんじゃないの!? 私の蹴りで地面に崩れ落ちるか、そいつを離して、小ネズミの様に無様に震えるか好きな方を選びなさい。」

天ヶ瀬は田原の胸を人差し指でビスビス突きながら、田原に詰め寄る。


天ヶ瀬のその気迫の前に、田原は直ぐ様、小ネズミの様に無様に震える方を選択した。


「では、薄情者のメガネ野郎から話を聞きたいと思います。」

俺の嫌味にメガネ君が説明に入る。


「まず、僕は刈谷と石原先生が繋がっていることを知っています。」


続けて


「今回の計画は石原先生が発案者ですが、刈谷もそれに賛同した。理由は田崎君、君だ。」


「お、俺?!」


「そうだ。天ヶ瀬さんを手に入れたい石原先生。田崎君を手に入れたい刈谷さん。利害が一致したと言うわけだ。君達が処分を受ける前日、田原先生と刈谷さんが夜に会っているのを見た。物陰から二人の会話を聞いていた。」

俺達は黙ってメガネ野郎の話を聞いていた。


「刈谷さんが天ヶ瀬さんと教室でやりあった日ありましたよね。あれも二人の算段でした。本来の二人の計画は石原先生達が天ヶ瀬さんを犯し、ビデオカメラに録画し、脅迫して田崎君と別れさせる事。そして、刈谷さんは田崎君の謹慎がとけたあと、天ヶ瀬さんのレイプ事件を話し、心の弱みにつけ込み、田崎君と付き合う算段だった。」

メガネ野郎の話を聞いていた天ヶ瀬は怒りに打ち震えていた。


「何で今までそんな大事な事黙ってたのよ、このメガネブタ野郎!!」

天ヶ瀬は華麗なバックブリーカーをメガネブタ野郎にかける。

(バックブリーカー知らない人は調べてみてね!)


いいぞ、もっとやれ。


「でもおかしくねぇか? スタンガンやビデオカメラのSDメモリーカードはなかったんだろ?」

田原の問いかけにブタ野郎が答える。


「あの体育倉庫内には刈谷が潜んでいたのさ。パトカーのサイレンが聞こえ、田崎君がボディーブローを放ったとき、すかさず刈谷のいる場所にスタンガンを投げたのさ。SDメモリーカードが無かったのも刈谷の仕業。」


「まずは君達や先生、不良の確保で手薄になる。その隙にSDメモリーカードを抜いていたという訳さ。」

なるほど、それなら合点はいく。 


だが…………。


「スタンガン投げたとか、SDメモリーカードの件とか、なんでお前が知ってんだ、ブタ野郎!」

俺はブタ野郎の首根っこを掴む。つーか、コイツの本名なんだっけ。

「ぐるじぃ…………だざぎぐゆわや…………おばなばだげが見える………。」


「おい、やめろ!死んじまう!」

田原の止めに、俺は掴んでいたブタの首根っこを離す。


「はぁ、はぁ、はぁ………実は……僕もあの場所に……いたんだよ。 刈谷さんの行動を携帯の動画に収めるためにね!」

マジか!それがあれば形勢逆転!


「で、その動画は!?」 

天ヶ瀬が詰め寄る。

「はぁ、はぁ、いい匂い!」

「いいから出しなさいよ!」 

天ヶ瀬のコブラツイストが炸裂する!


「あれはでふね、じふは!」

…………?

天ヶ瀬がコブラツイストを解く。 


「実はスマホ、落として割っちゃって修理中なんですよー!」

自信満々なブタ野郎に天ヶ瀬の華麗なジャーマンスープレックスが炸裂した。

(知らない人は調べてみてね!)


いいぞ、もっとやれ!


「じゃあ、警察官が証拠品としてビデオカメラを回収する前に、潜んでいた刈谷がSDメモリーカードを引っこ抜いて回収したんだな? そこもバッチリ映してあるんだよな?」

俺の問いかけに東栄ブタ野郎は親指をビシッと突き立てた!


「スマホの修理が完了したら、俺達の反撃だ!」

待ってろよ、石原め!

ありがとう、東栄英二様!


「お礼として、天ヶ瀬さんの首の匂い嗅がせてください!」

変態発言をするクソ変態ブタ野郎に天ヶ瀬が華麗なローリングソバットをかます!

(わからない人は調べてみてね!)


いいぞ、もっとやれ!!

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