充電人間
天ノ川鋼
充電
仕事帰り。東京の自宅は真っ暗。鍵を開ける。真っ先にやることは充電である。スマホの充電ではない。自分の充電である。
「今日も疲れた。今日残った充電は32%か。70%まで充電しよう。そしたらお風呂に入って食べて歯磨きをして寝よう」
充電中は決まってゲームや動画を見る。スマホの充電は65%。しかし今日は仕事だ。来週の企画で使う資料だ。
気づけば自分の充電は89%。急いで風呂に入る。そして食事をとり歯磨きをする。そして寝室に入り充電しながら仕事をする。そして自身をシャットダウンする。
朝起きたのは5時30分。朝食をとる。会社にはいつも8時30分に着く。そして今日TAMAZON《タマゾン》という充電人間用の充電バッテリーが届いた。働き先も何人か充電人間がいる。充電人間の特徴は充電人間にしか見えない充電マークがある。その人達と自分用に。TAMAZONは普通の商品も扱っているが我々充電人間しか買うことの出来ない物も扱っている。7時になり家を出て電車に乗り会社に行く。1時間半かかる。ここらへんは物価が高いからここには住めない。代わりに家賃の安い所で住んでんいる。
そうこうしている内に会社に着いた。タイムカードをさし仕事をする。仕事内容としては広告を作っている。大手企業から仕事の依頼も少なくない。給料も良い。この会社にも充電人間がいる。
「電充君。ちょっといいかね?」
聞いてきたのは中年で黒いシャツにYシャツ。Yシャツには少し洒落たネクタイを着けている。それは部長だった。
「えぇと、君に頼みたい事があるんだ。六本木にあるステーキ専門店の肉汁という店の本社に11時までに行ってアポイントを取ってきてくれ。FAXの調子が悪いんだ。成功すれば大きな仕事になるぞ」
「了解です」
肉汁にはたまに行く。肉汁のステーキは溢れ出る肉汁にボリューム、ステーキの旨味。肉本来の味を残しつつ絶妙な塩、胡椒がかけられている。さらにその味を引き立てるのが特性ステーキタレだ。これが本当に美味い。
約束の時間。30分前につき早速アポイントを取る。昼食も食べて来ていいという許可を得ているので食べることにした。しかも肉汁の社長さんと一緒にだ。
「どうだね、家の肉は?」
「最高です!こんなに旨い肉なんて肉汁にさかありませんよ!」
「そうか、ありがとう。所で仕事の事なんだが正式に君達にお願いしたい。話し合う必要もないだろう」
「いいんですか!ありがとうございます!」
「いい返事だ。宜しく頼むよ」
「はい!」
会計を済まし会社に戻る。
「部長!肉汁の事なんですが成功です!家でやることになりました!」
「おぉ!よくやった!早速仕事に取り掛かるぞ!」
今日も遅くまで仕事をし残りの充電は41%だった。
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