第35話

 最近、地獄という存在についてよく考える。



 今の生活は貧困にあえぎながら労働で心身をすり減らしている割に経済的恩恵を受けられることは少ない。頼れる存在もおらず、母娘二人で流浪の身になりかけている静かな修羅場である今を地獄と呼ばずしてなんと呼ぼうか・・・。

 


 これほどの困難のあとに、さらに地獄へ行く可能性があるなんて救いがなさすぎる。これ以上何をすり減らせというのか、これ以上何を奪われるというのか。現世の太陽を見収めた後に地獄の業火に焦がされるのかと思うと、絶望して死の世界に飛び込むことも救いとは思えなくなる。



 この世の太陽は無情な獄卒。あの世の太陽は全てを焼き尽くす業火。



 私の人生には今もこれから先も、極楽には程遠い道程が待っている。


 

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